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木曜日

昨日の話の続きいいかな?いいですよねよしきた
というわけで、沖田の発育もとい成長に気付かされ内心動揺しているもののあくまで表面上はクールを装う土方十四郎(27)。
奢るからって言うからついてきてみりゃお前ファミレスのドリンクバーかよ、知ってんだぞ無料券ため込んでるの。しかも一番隊の奴らにはファミレスどころか寿司食わせてやったらしいじゃん。なのに俺の扱いときたら。
「そう不満そうな顔しねーでくだせェよ」…このガキ。
「こういう顔なんだよ」「高給取りのくせにせせこましいなァ」「だから違うっつってんだろ」
そういうことじゃない。だいたい俺はな、別にお前に奢ってもらいたいわけじゃねーんだよそれこそ寿司だろうがバーだろうが奢るくらいわけねーんだよ、とか言わない。黙って煮詰まったコーヒーを啜る。アメリカンだっつってもうこれエスプレッソの濃さじゃねーかふざけんなよ「よくそんな苦いだけのお湯飲む気になりやすねェ」まあな。もう意地でも飲みきってやるよこんちくしょう。
「んで俺、作戦考えたんですけど」「は?」「作戦」「なんの」「だから、近藤さんを振り向かせるかんじの」「…」
それからというもの、近藤さんがどうした、どういうのが好みだって言ってた、シャンプー変えたの最初に気付いてくれたと小一時間。「ふうん」うっかり相槌を打つと勝手に同調したことにされて話は川の流れのようにゆるやかにとめどなくいつしか海へと、なんの話?
もしかして俺は、うっかり居合わせてしまったことで(しかも成り行き上助け船を出したことよって)こいつに「なかなか使える相談相手」認定されてしまったのではないだろうか。ということに土方が気付いたのはコーヒーコーラハイビスカスティーをおかわりし手洗いから戻ってくる途中のことであった。
うわちょっと勘弁してくださいよーと思ったもののまだ沖田の話は終わらない。そして暗澹たる気持ちの裏側でちいさな幸せを感じているのも事実。二人で深夜にファミレスデートって付き合って一年半のカップルみたいじゃん、って俺は!俺は乙女か!
「髪伸ばしたほうがいいかなァ、姉上みたいに、後ろに高くひとつに結ってさあ」「似合わねえって」「言い切りやすね」「お前がそれやったら姉貴の残念なモノマネみたくなるぞやめとけって」「…」無言で水をぶっかけられましたが、痴話喧嘩みたく思われてるんならそれでもいいです。
「土方さんってちょっとデリカシーにかけやすよねェ」「そうかよ」「カノジョは怒らねーんですか、女心ってものがわかってないのよーとかって」「知らねえよ。俺だって今、決まった相手とかいないし」「あ。そーですよねえ」
さりげなくアピールしてみたがものすごく納得されただけだったという。
「やっぱあんた、顔はいいけど人相がよくねェもん」こいつ飲んでるのってお茶かと思ってたらジンジャーエールかよ、ってなんだって?地味に衝撃を受けるが目の前のドールフェイスの変わらない愛らしさと言ったら。
「・・・初耳なんだけどなんだよそれ」「だからさ、なんつーの、愛人とか妾とかいっぱい作って、女にさんざん貢がせてあげくぱっと飽きて捨てちゃいそうな雰囲気がするもん」
まじかよなにさらっと言ってくれちゃってんのそりゃ若い頃はやんちゃもしたけれどそんな入れ食い状態体験したこともねーよせいぜい片手がいいところ、どれだけ俺は希代の色男設定なんだよ、とさすがに物申したい土方に。
「実際はけっこう引き摺るタイプでオクテなのにねえ」
「え。」
「最近ようやくわかったんです。あんた、見た目ほど軽薄なろくでなしじゃないんだなって」
「……うん。」
うわ、赤くなった気持ちわるってのは聞かなかったことにする。
深夜三時のファミレスにて。モテるはずだけどほんとにモテてんのか疑わしい土方さんの話。
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