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日曜日

あれ?なんか昨日私・・・曜日間違えてた・・・?ウオッフ
折り畳みで小話でも。

沖田さんは事前に提出していた休暇届け通りに、そして副長は現場に残されていたパトカーの中の、「どうにも胡散臭い」休暇届け通りに、三日間のお休みから屯所に戻ってきた。
ただし、別々に。



俺が最初に見たのは沖田さん。
朝の清潔な日差しを背負った彼が、疲れた顔でふらりと、門の前に現れた。
白く照らされたその姿に、俺の寝ぼけた頭は瞬時に、覚醒を促されることになった。
(あれって、血、じゃなのか?)
俺は玄関先のつっかけをとりあえず足に食わせて駆け寄る。カラカラと響く足音に気付いて顔を上げた沖田さんと視線が合った。手を振られる。どうやら重傷ってわけではないらしい、ほっとする。

「朝からジョギングかィ山崎」
「ッちがいますよ!」
「?ふうん」
「怪我してんじゃないんですかアンタ」
「ああ、これ違う」

そういえば独特の鉄臭さはない。そのかわり、人工的な甘い香料の匂いがした。
どっと、疲労感に襲われる。
この人はよく怪我を消毒もせずにほったらかしにしては悪化させ、ぶっ倒れてから手当するという阿呆なイベントを過去数回発生させたという実績があるから、今回もそれかと思ったのだ。

「休暇利用してちっとばかし遊びに行ってきたんだ」
「・・・・・・その格好でですか」
「これは結果そうなっただけでィ。なんでェ怖え顔して」

三日ぶりに見た沖田さんは、髪の毛もばさばさだし、なんだかちょっとやつれている。しかも休暇をとった筈なのに、ご丁寧に隊服をきっちり着こんでいるし、しかもそれが妙にどろどろなんだ。甘い匂いと埃っぽさに加えて、少量だけれど火薬の匂いもする。

「変態。嗅ぐんじゃねーよ」
「あのね。沖田さんが普通に饅頭の箱でもぶら下げて帰ってきたんなら俺だってこんなことしませんて。アンタ何やってきたんですかってか副長は?」
「土方さん?エート知ラナイ」
「目ェ泳いでんじゃないですか!調べはついてんですよ!副長の休暇届け偽造したでしょアンタ」
「ちっ侮れねえ奴・・・」
「監察舐めんでください。んで副長をどうしたんです。まさかほんとに・・・」
「いやいやいや達者だぜィ多分」
「嘘じゃないでしょうねえええ!あの世で達者とかそういうことじゃないですよねえええ!?あああやっぱりパトが放置されてた時点でもっと事件性を重く見るべきだったんだあああ」
「落ち着けィ。ほれ、80メートル先からダッシュでこっちに向かってくる人影があるだろィ」
「あ。」
「お疲れだろーから薬とリポDでも用意してやんな。俺は逃げるから」
「沖田さん、ちょ、沖田さーん!」

去り際の非の打ちどころのない爽やかな笑顔を俺の網膜に焼きつけて、風のように消えた沖田さんと入れ違いに、俺を背後から追い抜いたのは、鬼の形相をし頭からどっくどくと血を滴らせても尚全力疾走の、我らが副長だった。

「総悟ォォォォォォ!」

・・・三日ぶりに聞くその重低音のサウンドに、平和だな。って思いました。
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