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土曜日

電車の中の広告で「桜越しの月」って書いてあって素敵なこと言うじゃねーのって思った。

今日は部屋の蛍光灯も替えたし、久々に味噌汁作ったしで真人間ポイントをおおいに稼げたと思う。
よっしゃ寝っ転がって漫画読むでえ

折り畳みで小話です。



けんけんぎゃあぎゃあどこかで揉める声がした。
曲がり角で俺がばったり遭遇したのはきっとその騒音の構成員だ。
煙草くさい、ぶかぶかの上着をペンギンみたいに肩で着て、ふくれっつらの沖田さんが一丁あがっている。

「あ、副長のですね」
「・・・・・・」
「きょう冷えますからねぇ、素直に着といたほうがいいですよ」
「ヤダ」

アラそーですかんじゃ俺はこれで、と退散しようとするのに沖田さんがすかさずディフェンスするのでままならない。

「ちょお話あんだけど」
「勘弁してくださいものそい忙しいんですよ!副長か神山あたりならきっといつでもウェルカムですよ、さっ行った行った」
「山崎がいいんでィ」
「っ。」

そう言われると断れないじゃないか。「近藤さん出張でいないし」という補足を差し引いたとしても、充分効果的な、人情に訴える台詞。
流されて、結局「三分以内でお願いします」と制限はつけたものの、縁側に腰掛け、沖田さんの話に耳を傾けることにした。

「土方さんこの頃キョドーフシンなんだけどなんかあったの」
「はあ。まあ小言は多いですが特段変化ってほどのことは」
「ぜったいなんかあったって!」

基本テンション低めの沖田さんにしちゃあ珍しく、声を荒げての主張だった。
殴らなくなった。寝坊しても蹴飛ばしに来ない。皿から豚カツを奪っても抵抗しなかった。くしゃみすれば上着を押し付けてくる。そんなことが続いて、もう我慢の限界だという。

「そりゃあ、以前の副長の態度からすれば確かにちょっと違和感ありますねえ」
「違和感どころか虫唾全力疾走だし!さっきブチ切れて、いい加減にしろなに企んでんだって問い詰めたら、ニヤニヤするだけでろくに喋りもしねえの!!なにあれ!!・・・」

へくし、と沖田さんはかわいくくしゃみをして、「着ててもあんまぬくくねーし返す」と言ってさささと上着は脱いでしまった。
よろしくと残り香ごと押し付けられて、俺は途方にくれた。
これって俺が理不尽に殴られるパターンじゃないか?
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