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土曜日

高カロリー祭が止まらないぜ!
明日起きぬけにケーキを食べようと冷蔵庫にしまっておきました。
平凡な毎日にときめきを!

折り畳みで小話です。 黒い頭に蜜柑を載せて、しばし観賞。反応はない。つまらない。
回収しても同様。
死んだかな、と思って隣の鼻先に手をかざせば、土方さんの両目がぱちりと開く。

「なんだよ」

責めるような口調に腹が立つ。
俺はさっと手を引っ込めて、さあなんのこと?というように首を傾げた。
俺に答える気がないことを理解した土方さんは、また目線を戻し睫毛を伏せてただの横顔になる。

窓の外ではくすんだ景色が早送りされている。みぞれが窓を流れて消える。
がん、と叩きつけるような音がして照明が落ちたあと、すぐに戻った。目を閉じている土方さんは気付かない。

もさもさと蜜柑の房をちぎって口に含む。
出張だと聞きつけた一番隊の奴らがおやつにどうぞといって、みっつばかしくれたのだ。
遠足気分かよと批判的な発言をした土方さんには配分がないらしい。当然だ。
ぶちぶちと、冷たいとかなんとか呟いてたけど知るか。

指定席をとったのに、車両は貸し切り状態だった。
それならわざわざ隣に座ることもないと、座席を立った俺を咎めたのは土方さんだ。「決まりは守れ」「移動時間長くて退屈すんだろ、総悟お前、なにか喋ってろ」そう言った。当然俺は、言い返した。

「片道三時間。そんな長い時間じゃないでしょう」
「そうだ。三時間くらい決まったところに座ってられるだろ」

それもできねえの?と土方さんときたら、明らかに使いどころを間違った女殺しスマイルで言うので、ちょっと不憫になってハイハイそうですねと、ここは折れとくことにした。
土方さんという人間は、たまにこういう間違いをするので。
出力バルブとか切替スイッチとかが、どっか繋ぎ損なってるんじゃないのでしょうか。ひっぱたいたら直るかな。

蜜柑はあとひとつになった。
『俺』とボールペンで名前を書いた。
よしこれを座席に置いておけば土方さんも納得すんだろ、とシミュレーションしていると、「おい」と不機嫌そうな声がした。いつの間にやら土方さんが覚醒していた。

「寝たふりですかィやらしいなァ」
「ろくでもねえ算段してねーで肩でも貸せ」
「えっどんな罰ゲーム?俺がなにしたってんですかィ」
「俺を傷付けた」
「はあ、そりゃまたご愁傷さんで・・・」

面倒くせえなと思わず本音がこぼれて、ますます土方さんがぶすくれる。子供かよ。
有言実行とばかりに、俺の肩は占拠された。
ひっぱいて次の駅で降りようかなあ、と思ったけれど、切符を持っているのは土方さんだし、あと小一時間も揺られていれば帰れるのにここでそんなに張り切りたくない。名物の押し寿司を抱えて、この天気の中無事屯所まで帰りつける気がしない。
うんうん、落ち着け、と自分を諭し、「おひとつどうぞ」と土方さんに蜜柑を勧める。
しげしげとそれを眺めた土方さんが、ちょっと嬉しそうだったのでたぶんご機嫌取りは成功だ。
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