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木曜日

引っ越ししようかなーと不動産屋を覗いたり賃貸情報をチェックしたりする日々です。しかし調べているうちに気持ち悪くなってくるんですよホレ、いっぱいありすぎて。賃料と職場へのアクセスと駅からの距離と間取りと・・・ってもう知らない勝手にやってろよう と。いや考えなきゃなんないんですけどね・・・契約更新の前にさ・・・


折り畳みで小話です。
半月にいちどの市が開かれているから、ということでおつかいに出された街は、思いもよらず盛大に賑わっていた。
野菜や乾物などの食料品に加えて、古本や金物、提灯に竹細工と端から順に挙げていったら日が暮れる。
道の両側に構えた店の並びには品物が溢れており、商売人に買い物客、そしてただ冷やかしのためにぶらついている人間と、今までどこに隠れていたのか感心するのを通り越して呆れてしまった。なんせ数日前通りかかったここは人影もまばらで、まるで廃墟のようだったのだ。

「はぐれんなよ」

と、土方が振り向いたときには既に遅く、荷物持ちとして付いてきたはずの沖田の姿は忽然と消えていた。
「あのクソガキ」心配よりも舌打ちと罵声が先に立ったのも無理はなかった。
出がけからあの子供は土方と同行することに不満たらたらで、「俺は来客があってどうしてもいけないから総悟がかわりに用足しをしてくれるならこんなに助かることはない」と近藤に真摯に諭されてようやく首を縦に振ったのだった。
元気よく手を振って満面の笑顔だったのは、予想どおり、見送ってくれた近藤の姿が見えなくなるまでのことで、曲がり角に差し掛かった途端に「自分は不本意である」という表情を塗りたくった仏頂面をはりつけてその上、土方の隣から大きく距離を取ってすたすたと歩き出した。
憎たらしいガキ。
口の中だけで呟いたはずがどうやらそれはしっかりと、その憎たらしいガキの耳まで届いてしまっていたようで、ただでさえ遠かった二人の距離は、道の端と端でまんなかを大名行列が通れるくらいの余裕の広さをとるほどになっていた。

それでも、徒歩で一時間の距離を無言で進めるほどこなれていたわけではなく、更にこのごろは、「険悪な」というよりも「犬猿の」といっても過言ではないところまで、緩やかに変わってきていたところだったから、街に到着するころにはまた、細々と会話をするくらいまでには回復していたのだ。
「遠いな」「まあ」という、世間話にも遠い程度だったけれど。

こみあげてきた怒りが通り過ぎて、ようやく冷静になった土方は、「しかし」と思いあたる。
わざとはぐれたのではなく、迷子になっているのでないか。と。
そうしたら話は別だ。

「・・・おおい!総ォ悟!」

通りかかりの親父を驚かせただけだったので、もう一度。

「おいコラ、そーーーごーーー!」
「・・・ちょ、土方さん」
「お、いた」
「迷子にならねえで下せェよ。いい大人のくせに」
「・・・・・・ってっめえなあ」
「頼まれた青物、あっちにありやすから。さっさと来なせェ日が暮れちまう」

急に手を、引かれて先を行かれたから、ほんとうに自分のほうが迷子のように錯覚する。
(憎たらしいガキだけど)
子供の高い体温は、そんな記憶などないはずなのにむやみに懐かしく、土方を困らせる。

たぶん今、何か言ったらすぐに手を離してしまうだろう。
知らないふりをしてただあとをついていこうと、人波を掻き分けながら、そっと小さな秘密をつくる。
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