金曜日 そういや金曜日は飲み会だから幹事の私は買い出しにゆかねばならないのだった。 一周してブームが戻ってきました。女子女子。 折り畳みで小話です。HANPA! 夢の中まで呼びにきてくれた携帯電話は、目覚めた瞬間鳴くのをやめた。 薄闇の部屋の中で、白いイルミネーションだけがまだ生きている。 ディスプレイで名前を確認する必要なんてなかった。 もともと、たったひとりの姉との通信手段だったからこのコは、とっくに役目は終えていたんだ。 最後の使命を与えてくれたのは土方さんだった。 「そんなつもりじゃなかった」 そう言った土方さんは、誠実だった。 痛いくらいの誠実さに耐えられずに、視線を外した。手を、振りはらった。 逃げてきた。 (・・・恥ずかしい) ぐちゃぐちゃだった。恥ずかしくて、悲しくて、さみしい。 自分の中でいちばん、純粋できれいだと思っていた感情は、取り落としたとたんに汚れてしまった。 自分の世界の中心だった姉は秋頃に、ふっといなくなった。 その空白に滑り込んできたのが土方さんだった。 ようやく出会えたとすら思ったんだ。 ずっとそんな勘違いをしていた。 とくべつ同士なんだって、思ってた。 お菓子をわけあって、手を繋いで、彼女の爪に桜色を塗った。髪を撫でてもらった。いつかの海の話をした。 たのしかった。 もうずっと、土方さんは、退屈だったのかもしれない。 いつだって静かに笑っていたのは、許していたのではなくて、呆れていただけだったのかな。 「いつまでも一人でいてはだめだ」 「一人、って」 「春からは、違う街で暮らすから。お前もちゃんと、友達をつくって、あたりまえの生活をできるようになれ」 「急な話です、ね」 「急じゃない。ずっと決めてた」 「なんだ、じゃあ言ってくれればよかったのに」 「お前に?」 「だって・・・親友でしょう」 一瞬笑いそうになったらしい。 土方さんは、全然冗談じゃないことに気付いてすぐに、さっと青褪めた顔をした。 「ごめん」 「え」 「泣くとは思わなくて」 「え?」 「そんなつもりじゃなかった」 ぼろぼろと、止まらないのは涙だった。 手に入ったと思っていた宝物が、みるみる形をなくして崩れていく感触がした。 PR