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日曜日

暑くて寒くて節々と目の奥が痛くてハナミズがとまらないんですがこれは夏風邪というやつかもしれません。・・・バカで悪かったな(中井声で再生して楽しむ遊び)
あさってから九州に出張だってのに私ってやつは私ってやつは・・・飛行機代七万八千円を無駄にしないためにも今日は早く寝ます。


んでもって折り畳みで小話です。女子沖。なかよしっ子だった私は海/野つなみ先生が大好きです。

「なんで山崎って、敬語なの」
「え?」
「ほかの女子にはタメ口なのに」
「だって沖田さんは土方先輩の、」

カノジョでしょうと言いかけて慌てて俺は姿勢を正す。そして手元の携帯電話を気にするふりして時間をかせぎ、その間に適切な表現を探す。
結果、口に上ったのは可もなく不可もなくなそれだった。

「土方先輩と親しいでしょう」

「やめてくんない」沖田さんは頬杖をついたまま、俺のことを嫌そうに睨みつける。
会話を放り投げて席を立ったりしなかったってことは、俺の判断はそれほど間違いだってってわけじゃないんだろう。

「そんなこったろうと思った。あのなァ、そやってあの野郎の付属品みたく扱うのやめてくんない?」
「そういうわけじゃないんですが」
「じゃあ今日から改めろィ。なんかかゆいし、沖田さんーての」
「それはちょっと無理のような」
「なんで」
「・・・俺はいいんですけどね、」
「おい沖田」

大声を張り上げたというわけでもないのにやけに通る低音が、あたりの空気を一変させた。
俺だけではない、クラスメイトがこぞって沖田さんにざっくばらんな態度を取ろうとしない原因が今まさにここ、一年B組の教室に降臨したのである。

土方十四郎。
三年S組所属、この学園で彼以上の有名人はいない。
IQテストで漫画みたいな数値を叩き出したとかアメリカで5つ学位を取ったらしいとか石油で儲けて四代先まで遊んで暮らすに困らないだとか亡き母親は伝説のムービースターだとか、真偽の程は怪しいが間違いなく言えるのは、ルックスの良さと頭脳の優秀さは本物だってことだ。
まず単純に見た目。そしてSクラスに振り分けられたことを示す胸元のバッチがそれを証明している。

「どうした?昼飯の時間だろ」
「・・・食べたくありやせん」
「なんだダイエットか?必要ないだろ」
「そういうことじゃなくてですね」
「なんだ忘れてきたのか。心配いらねえよ俺の手製弁当を半分やろう。足りない分は購買に行って買い足しゃいいしな」
「もおおだから、ほっといてくだせぇよ!そういうお節介はいりやせん!」
「未来の妻に対しての気遣いだ。こんくらい当然だろ?」

何拍子も揃っているわりに浮いた話が少ないのは、そういうわけなのである。
そういうわけ、以前にも浮いた話が少ないのは中身がちょっと・・・こう・・・ひょうきんだから。なのである。
絶句する沖田さんをよそに、長身のハンサムガイは発した台詞に一遍の恥じらいも感じていないご様子だ。

「それとそこの地味な奴」
「俺ですか」
「人のフィアンセに白昼堂々色目使ってんじゃねえ」
「そんな恐れ多いことしませんて」
「わかっているんならよしとしよう。・・・ん?」

なぜか俺の携帯電話を凝視しているから、(この人が疑うような)やましいこともなし、目の前に差し出してみる。
ストラップはつけてないし、背面に彼女とのラブプリが貼ってあるのがせいぜいな黒ボディのスライド式だ。
別に手に取るわけでもない土方先輩をよそに、身を乗り出して興味を示したのはむしろ、沖田さんのほうで。
俺の彼女(ニューフェイス)に食い付いたというより、自分から話題が逸れてほっとしているってのが本音だろう。

「あれーまたこないだの彼女と違うじゃん。これって集女の制服?ほんっとスパン短いなァ」
「長続きしないんですよねー」
「んなこたどうでもいい。おい山崎」
「はい?」

って俺の名前覚えてんじゃん言えんじゃん、と内心つっこみつつ平静に返す俺は意外と空気を読める奴なんです。

「これってどうやって撮るんだ」
「どうって・・・普通にゲーセンとかにあるプリクラで・・・」
「ふうん。」
「・・・やですからね。」
「まだなんも言ってねえだろ」
「ツーショットとか、撮りやせんからね!」
「じゃあお前一人で撮るか」
「それこそ痛いっての!」
「じゃあツーショット。決まりな。今日の放課後、逃げたら自宅まで押し掛けるからそのつもりで。」

横暴、と呟く前にぐるると鳴った自分の空腹を主張するかわいらしい音に赤面した沖田さんを、これ以上ない爽やかな笑みを湛えたまま、カリスマは去った。
もちろん、「未来の妻」を拉致・・・いや、同伴して。

「たいへんだなあ」

俺は本心からそう呟くも、あと十分でお昼休みが終わってしまうことにはっとして、慌てて鞄からコッペパンを引っ張り出したのだった。
今日もたいそう平和なのである。
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