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土曜日2

人気のない道をケロロの初代OPを口ずさみながら歩いていたらオッサンに後ろから追い越されて恥ずかしかったです。え…いたの?っていうね。
先日コナンのテーマ(テレテーテー、テレテーレーテテー、テレテレテーテテテーテレーテー♪てやつ)口ずさんでいた時も大学生っぽい男子に追い越されて恥ずかしかったのに喉元過ぎてまた油断していたよ。やだなあ皆気配消すのうまいんだから~ってそういう問題じゃないっつーの!公道で歌ってんじゃないっつーの!俺は母ちゃんの奴隷じゃないっつーの!(※ジャイアンの有名な台詞。このあと母ちゃんに「そんな台詞は奴隷みたいに働いてから言うもんだよ!」と華麗に返される。たぶん大長編のプロローグ部分。ちなみに別に本日の出来事との関連性はとくにないが語尾が同じというだけで引用した。)


「同僚と付き合うことになるかもしれない☆」とか打ち明けてくれたお友達とご飯がてら顔を合わせたら、「プロポーズされた☆」と薬指に光る指輪を披露されました。付き合うかも→婚約のこの間一月足らず。急展開すぎて四コマ漫画かと思いました。
そして語られるアツアツのエピソードの数々・・・
幸せに、なってくださいね・・・とグラスを傾けつつ「まあ、私ともまた飲みに行ってくださいよ職場近いし」と締めにかかろうとしたら
「ほんと誘って☆合コンなら付き合うから☆」
・・・ちょ、待っ・・・!?
今ものすごく観覧車から池ポチャする時のきもち。


折り畳みで小話です。
花泥棒というより花荒らし。
たぶん俺の気配に気付いただろうにその人は、びくつく様子など微塵もなく。
その足元に花弁を散らかしたまま、隠すこともしなかった。
摘み取っては迷いなく唇に運び、また捨てる。
それが三回繰り返されるのを見届けてから俺は、声が震えないように深く息を吐き出してから、その後ろ姿にぶつけた。ささやかな抗議を。

「アンタだったんですか沖田さん」
「あに」
「なに、じゃないでしょう。せっかく綺麗に咲かせたのに」
「山崎のだったの」
「俺のじゃないですけど」

俺が植えたわけじゃないけれど、世話をしていたのは俺だった。
弱っていたら添え木をして、虫がついたら取ってやって。そしてもちろん、毎日の水やりは欠かさずに。

沖田さんは、唇に銜えた躑躅の花弁をゆるやかに取り去ると、それに目を落としてから、今度は地面に捨てることはなく、掌の中に握りこんだ。
それからちいさく、ごめん、だなんて言うから驚く。
まるでその手の単語なんて、この人の辞書には登録がないんじゃないかとすら思ってたから。

「いや、いいんですけど。けど、むしゃくしゃしてるからってむやみやたらに、植物や動物にあたるのってよくないですよ」
「そういうわけじゃねェよ」
「じゃあなんです」
「腹減ってたから」
「・・・だから、そういうのをやつあたりって言う・・・」
「違う。腹減ってたとこに、ちょうどよくこれが生えてたから」

言い終わると同時に沖田さんの腹がきゅう、と鳴った。
のを耳にして俺は、ぐらりとした。
そういえば、だ。
目につくところの砂糖をあるだけ食ってしまったっていうことで、厨房と給湯所に出入り禁止を言い渡されていたんだっけ、この人は。
さんざん飯を残したうえでの出来事だったから、副長が怒っちゃって、たしか・・・

「怒ってる?」
「呆れてるんですよ。いくらなんでも、庭に生えてるもんに手ぇ出しますか・・・」
「だって土方の野郎に財布没収されたうえ買い食い禁止されたんだぜィ。顔パス効いてた駄菓子屋もいくら脅しても首を縦にふらねえし、押し入れに隠してた煎餅も底をついちまったし残るはここしかなかったんでィ」
「三度の飯をきちんと召し上がればいいんじゃないでしょうか」
「刺身とか酢味噌和えとか、俺の嫌いなもんばっかり出んのに?」
「好き嫌いしてると大きくなれませんよ」
「なんでェその言い草、山崎さてはてめえも土方の手先だな」
「違います違います一般論ですよ」

つめよられて思わず吹き出しそうになったのを必死でこらえた。
啖呵を切ろうがドスを利かせようが、まだまだ年季も経験値も足りないんだって、たぶん誰よりも本人がわかってる。
だから今、俺を優しくさせているのは上司への遠慮というよりもむしろ、年下への寛大さだ。

「うどんくらいならご馳走しますけど、どうします?」
「いいの、ってかお前怒られんじゃねえの」
「沖田さんが黙ってればいい話ですよね」

ぱっと眉間が開いたのを見てこっちまでつられた。
うどんとか豆腐とか、そういうのばっかり好きなのだ。実はちょっと有名な話。
「行きましょうか」と踵を返した瞬間視界に入った、黒い地面に散らばる躑躅にはもう、戦慄しなかった。
無為に散ったわけじゃないんだよお前たち。
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