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ふとした時に本音が聞こえる時がある。
あたまのなか、に。
「手を繋いでる時とか」
「ふうん」
「きっと五感のうちひとつ、触覚が満たされているから第六感がはたらく余裕ができるのかも」
「そりゃあよかったね」
「俺は別に構いやせんけど土方さんはへいきなの」
「俺はお前に読まれて困ることなんてないもん」
なにが「ないもん」だ、かわいいつもりなのだろうか。
むっとしたのが顔に出たのか、土方さんはゆるゆる笑い、くわえていた煙草を一度、灰皿のふちに休ませる。
「だってたとえば、へいきじゃないことってたとえばなんだよ」
「軍事機密とか預金の残額とか自慰のねた?」
「お前全部知ってそう」
「知りやせんよ」
「知りたい?」
「知られてもへいきなんですかィ」
「だってお前は、敵のスパイでも結婚詐欺師でも麗しいお嬢さんでもねえだろが」
そうかそれではこの不思議な力も俺が俺であるゆえに、まったく効力を持たなくなってしまうのか。土方さんには。
ぼろりと灰が落ちた。
うまい具合に畳に落ちるまでにそれは冷めてしまったらしく、跡をつけることもなく溶けて消えた。とても残念だ。
「土方さんはもっと俺に気をつかうべきです。恥じらいってものが足りない」
「気をつかってたらこんな関係になんてなんねえよ」
本音が聞こえる時がある。
残念ながら聞こえないときもある。今は、その時。
寝た後に、手を繋ぎたくなる。土方さんと俺の変なくせ。