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ネウロ・・・
今週のジャンプはいろいろ見どころがあってよかったです。クロームちゃんかわいい。たまこ先生もかわいい。
折り畳みで小話です。
卒業式が終わった途端に似合わなくなった学生服は、当然俺が貰えるもんだとばかり思ってたのに。
「なんで捨てちゃうかなァ」
あてつけがましく、おおげさに、悲壮感を込めてそして、恨みがましく。
蛍光ペンを片手に賃貸住宅情報誌を熱心にめくっていた土方さんは、はたとこっちに視線を向けた一秒後には、うっとうしそうに眉を寄せるとまた、忙しそうにページを折ったり戻ったり。
段ボール箱がぎゅうぎゅうに積み重なって、部屋をせまくしている。
土方さんの部屋の一部だったものが、来るたびにその段ボールの中に閉じ込められていくのを目の当たりにして俺は、実はこっそりさみしくなっていたりする。
繊細を装っていて実はミスター厚顔な土方さんにはきっと、そういうびみょうな情緒ってもんが伝わらないような気がするから、言ったことはないけれど。
「聞いてんのかコラ土方ー」
「おー聞いてねえよバカ総悟ー」
「せっかく寒い中足を運んでやった客に対して態度悪ぃぞバカ土方ー。しかも無駄足。さいあくだ」
「・・・お前なあ」
土方さんが眼鏡を外した。
しまった愚痴りモードに入ってしまった。めんどくさ。
後悔役に立たず、俺の心土方さん知らず。逆もまたしかり。
こたつ蒲団に体を浸らせてぬくぬくしていた俺の腕を引く土方さんは、齢18にして頑固おやじの風格を漂わせている、気もする。
「お前な、こないだ俺が制服やるよっつったら自分で何て答えたか覚えてるか?『えーヤダいらねえ土方さんの制服なんてヤニくせえし貰っても袖通したくねーんでぇ』・・・俺は心底悲しくなったね」
「そうですっけ」
「そうなんだよ。あれは丁度次の日が資源ごみの水曜日だった。勢いに乗った俺は古い衣類と一緒にまとめて集積所に出した。どうしてくれんだよどさくさでまだ着れるもんまで捨てちまったっつーの」
「土方さんてばうっかりさん。・・・そういやこの部屋がらーんとしちゃいましたねえ」
「まあな。ってこんなことしてる場合じゃねえ、あー焦る、もう日がねえのによ・・・」
春から大学生の土方さんは、憧れの一人暮らしに向けて準備の真っ最中だ。
几帳面で慎重なのが売りの(笑うところ)土方さんが引っ越し間際のこの時期、なぜ今頃になって新居を探しているのかっていうと、仮契約を済ませた部屋が、先週の大雨で浸水し、修復まで数か月かかるからということらしい。
「潤いのある生活じゃん」て冗談で言ったのに渾身の力でどつかれたのも、記憶に新しい。野郎。
「土方さんせっかくひとり部屋なんだし、こっから通えばいいのに」
「あほか。二時間かかるわ」
「んじゃ、この部屋俺にちょうだい。」
「ばっか。ヤニくせえのは制服の比じゃねえっつの。」
「だってほかに土方さんの匂いが残ってそうなもんなんてないし」
かるーい気持ちで口に出した、他意もなけりゃ思惑も策略もありゃしない一言を、土方さんが深刻な顔で受け止める。
「・・・この部屋はやらねえぞ。」
「・・・じょうだんで、」
「ちょっと待ってろ」
なんたらの塔と命名してもいいような段ボール箱のてっぺんから、土方さんが紙袋を取り出して、「代わりにこれをあげよう。」なんて上から目線で、放り投げるみたいに俺に渡す。
「なんですか。あ、もしかして、捨てたとみせかけて・・・」
「いらねえって言ったら絶交する」
思ったとおり中身は、ゴミとなる運命からすんでのところで逃れた学生服。
押し付けられた紙袋の代わりに俺は、着ていた青いTシャツを、真面目そうな追剥に強奪された。(実のところムーディに。そこは省略)
「餞別っつったって土方さんこんなん普段着ないじゃん」って抵抗したのに、
「お前が手ぶらで泊まりに来れるように預かっておく」なんていうから、ああもう!
駅から近いとこに住んで欲しい。