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水曜日

折り畳みで小話です。 軟膏の塗りたくられた湿布をぴっと伸ばして次に、流れるような仕草で白い包帯を巻いていく。
説教と拳骨のコンボ、まずくすれば始末書かってかなり憂鬱だったのに、どういうわけか土方さんは、部屋に入るなり「左手出せ」って言ったかと思うと、黙々と薬箱を広げ始めた。

手当なんて、道場いた時だってやってもらった覚えがない。
俺がほいほいと血の滲む左手を晒さなかったのも無理はないことだと思う。勘が悪い、とでも言いたげにこれみよがしな渋面を作るのはやめてほしい。
することがなくて土方さんのつむじを見ていると、「何か言え」とつむじの下から声がした。

「何かって」
「たとえば、今日の出来事をダイジェストで、とか。」
「・・・向こうが絡んで来たんです」

土方さんが促したからそう答えたのに、溜息で返すなんて随分だと思う。

「往来でむやみに刀を抜くなってあれほど言っただろ。勝手に傷増やしてんじゃねえよ」
「・・・俺は、アンタの許可がねえと怪我ひとつできねえの?」
「そうだな。」
「隊長ってめんどくせえんですね」
「副長はもっと面倒くせえよ」
「じゃあ俺が代わってあげやしょうか」
「お前はすぐそれな」
「土方さんには荷が重いんじゃねえですか?この頃溜息ばっかついてるし」
「どっかの誰かさんが外出るたびろくでもねえ傷作ってくるからだよ」
「じゃあ今度は私服に着替えてから始めることにしやす」
「・・・お前なァ」

また溜息。逃げる二酸化炭素は土方さんの幸せを乗せて。

「名前背負ってんの自覚すんのは結構だがな、総悟」

傷のとこを避けて、包帯の上からぎゅうっと力を込められた。
痛みを感じるところを、痛みの持ち主を教えるように、長い時間。
「だからお前は勘が悪い」
今日何度目かの空耳の暴言を、うっとりと受け止めた。
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