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木曜日

こないだ丸の内の〇善でSKRB一樹さんがサイン会してるところを通り過ぎたわけですが東京ってそこらじゅうに有名人がいるって話はまんざら迷信ではないな、というより有名人がいっぱいいるから東京なんですね。と思いました。

折り畳みで小話を。
「たまにあんたのことが無性にかわいそうになる」
突っ伏していたから寝言かと思った。
総悟の前には蓋の空いた一升瓶が、緑色に透けた影を落としている。
「かわいそう」
「そりゃどうも」
やけにはっきりした声だったので、とりあえず返事をしてみる。
んん、と蚊の羽音みたく唸ってから、総悟は枕にしていた自分の腕を組み替えた。たぶん今顔を上げたらくっきりと、壮大な波模様が刻まれているはずだ。袖の皺のたゆたうままに。
総悟の寝言は続く。
「土方さんはこの先一生、夢中になれる大恋愛はできません」
「いつから占い師になったのお前」
「んなの占うまでもねえよ。わかりきってる」
「ばか言うなっての。俺がどれだけモテるか知らねえな」
「そういう誘いにも、惚れてンのがいるからって言って、どうせ断るでしょ」
俺は黙る。
これはこいつが自惚れてるとか勘違いしてるとかじゃなく、全くの事実なのだ。
「そういうんじゃ、いけやせん」
「一途なのは美点だろうが」
「そりゃね、成就する想いだってんならそうでしょうけど・・・ありえねえでしょ。俺はあんたを見張ってる小姑じゃねえんだから、以後、ご自由に」
沈黙が降りてくる。
その間に俺は、しばし思いを巡らせる。
宗教とナンパは弱り目が狙い目とはよく言ったものだ。
寝ている耳に、何を吹き込もうか迷うところ。
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