水曜日 朝の電車の中で鬼塚さん聞くと一日の活力根こそぎもっていかれるから気を付けたほうがいいよ!(言うまでもないだろうよ) 絶チルも番長もお茶。もたまらん面白さ。またこれがどこの本屋でも必ず置いてるラインナップだから困る。おしゃれな棚がかわいそうな様相を呈してきました。「俺はもう・・・三周はしているぜー!!!」熱い・・・バカ熱い・・・!なんかもういろいろどうでもいい・・・!!! 折り畳みで小話です。バカにターボがかかっているのでそのつもりでよろしくお願いします。 「どこでイエティが狙ってるか判らねえってのに、こんなとこで眠れるかよ!俺は部屋に戻る!」 そして彼は、第二の犠牲者として発見されることとなる。 吐息すら凍るような、白い朝のことであった。 「これで、犯人はこの中にいるということが証明されやした」 張りのある少年の声が、応接間に響き渡る。 彼の名は沖田。一部では「カナリア」と呼ばれている。かわいらしすぎるあだ名に、本人含め周りも閉口気味だ。 「霊や妖怪なんかじゃねえ。れっきとした人間の仕業でさァ」 反応を示す者はいなかった。 館の住人達は皆一様に、固く身を寄せ合い暖をとっているかのようだった。空調は十分であるはずだ。それでも、身体を這うように染みていく、得体のしれない恐怖に、細かな震えを止められる術などなかった。 口には出さないものの、もはや祟りであることを疑う者などいなかった。 『イエティ』。・・・それは、この地に伝わる迷信の類であり、形のない神の俗称でもあった。 十年前をなぞるように、一人、二人。 禁忌を侵した者が、闇に葬られてゆく。 「俺の不肖の上司みたいな目に遭いたくねえなら、ここで救助を待ちやしょう。単独行動をしない。これが確実な防衛策ってもんでさァ。ちっとばかし消極的だけど」 「あの・・・」 「なにか。・・・えっと、名前」 「丸本です」 静寂を破った一人が、おずおずと立ちあがる。 黒髪の、気の弱そうな青年。 月に二度ほど出入りをしている、雑貨屋の御用聞きだということだった。 昨夜、めったにない不運に見舞われた己の境遇を、冗談混じりに嘆いていた軽快さは、今は見られない。 「どうしてそう言い切れるんです。イエティが人間だって言うなら、犯行のあととっくに外に逃げ出してるかもしれないじゃないですか。不安を煽るような真似はやめてもらえませんか」 「街へ出る道は通行止め。そうでなくてもこんな猛吹雪の中、アシもなしに出歩くような事ァ自殺行為。そうじゃねえの?」 「それはわかります!だけど、こっちだってカンヅメ状態で気が滅入ってるってのに、犯人扱いされちゃたまったもんじゃありませんよ」 「別に俺は、犯人を吊し上げようとしてるわけじゃねえぜ。なんの得もしねえしな・・・ただ、これ以上無駄な犠牲を出したくねえ。無駄な。うん。土方さんの犠牲は無駄だった」 「ふざけないでくださいよ!案外、探偵気取りのアンタが犯人なんじゃないですか?上司が殺されたってのに、随分平気な顔をしていらっしゃる」 言いすぎだろう、と止める使用人達も、不信感と疑問を貼りつけた、苦々しい表情を沖田に向けていた。 不穏な雰囲気が渦巻いて、部屋の空気が薄くなる。丸本は続ける。 「だいたい、こんなオフシーズンにわざわざこんな山奥に来た理由はなんです?そもそもアンタらが山に立ち入ったことがそもそもの禍の発端だったんですよ!」 「土方さんには、裂傷も打撲痕もなかった」 「・・・は?」 「近藤さん、バナナありやすか」 「ん?おう」 後ろに控えていた強面の男が、おもむろにリュックサックからバナナを取り出し、沖田に手渡した。 沖田が窓を開けると、笛にも似た高音と、切るような冷気が部屋を吹き荒らす。 顔を顰めた沖田が再び窓を締め切る頃には、額に汗を光らせていた青年から、顔色が消えていた。 「このとおり、バナナで釘が打てやす」 「・・・そんなの、なんだって」 「丸本。いいや、『イエティ』。俺をはめようったって無駄無駄無駄ー。ネタはあがってるんだぜィ」 「な、なにを証拠に・・・!第一、俺にはアリバイが」 「アリバイなんて無意味でさァ。なんせ土方さんに毒を盛ったんは、昨夜の夕食時。だろ?」 「!!」 「やれやれだぜ」 窓の隙間が再び、吹雪を招き入れる。 そして、第二の犠牲者であった、土方その人をも。 「な・・・死んだ筈じゃ!」 「丈夫さが取り柄なんでな。おいコラ総悟、何が無駄だ役割分担ってもんを把握してねえのかお前は」 「聞き間違いでさァ耳鼻科受診をお勧めしやすぜ」 「んだとコラだいたい軒下でいつまで待機させんだよ凍死するとこだったぞ」 「期待したのに」 「んだとコラ」 「トシ、総悟話が進まない」 「・・・丸本太一郎。雑貨屋「まるはち」非常勤販売員は仮の姿だ。手配番号33987、コードネーム山崎退。悪天候が去って青空の下、穏便に連行しようとしてやったってのに間が悪ぃ奴」 「こん人ねえ、大好物のマヨネーズに毒物仕込まれたのが我慢なんなかったらしいんでさァ。食べ物を粗末にすっと碌なことがねえ。覚えときな山崎。」 館の住人達は既に観客であった。 これまでろくに話したこともない、御用聞きの商人。 まるで印象の薄い男が、この舞台の主役となり、空間を支配している。 恐怖も忘れ、その非日常感に、ただ息を飲み、見守ることしかできなかった。 「罠だったわけですか。しまったな」 くっと喉を鳴らすと、口元に暗い笑みを浮かべ、話し始めた。 「いかにも。俺の名前は山崎退・・・」 朗々と犯行動機を連ねるのを耳にしながら、沖田はあくびを噛み殺す。 第一の犠牲者が誰だったかすら、既に記憶はおぼろげで、あとで土方に聞けばいいやと思っている・・・ 沖田の役目は事件発生をかぎつけるところまでなのだ。 PR