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土曜日

ラーメンの胃に居座る様って暴力的ですよ。
折り畳みで小話でも。銀せんせーと女子沖で。
 


「せんせい、見えますか。あの鉄塔。あれ描いて中学校の時水彩画コンクール、銅賞とったんです」
「へえ沖田ってゲージュツ的才能があったの。すごいじゃん」
「すごいですか」
「うん。」
へらっと笑うなしゃんとしろ。
気持ち悪い。ああ気持ち悪い気持ち悪い。
車窓にへばりついて流れる景色を眺めている二人から50センチほど距離をとり、俺は参考書に夢中。な振りをする。
沖田の、人差し指の第二関節をちょっと口に含む癖。見たくもないのに視界に飛び込んできて、思わずページをめくる指に力が入る。
(そういや思い出した俺の筆用バケツと山吹色の絵の具、借りたままなんだぞお前は)
(ほかにもそうだ、机に盛大に色移りしたのを一緒に怒られてやったし)
「その絵も土方さんには『お前の色のセンスは理解できない』ってさんざん貶されたもんです。」
「え、なにお前ら中学校も一緒なんだ」
「そうですよ」
「へえ。あ、もしかして志村も?」
「志村のアネゴは西中です。校区違うんで」
「ああ、そっか国道挟むんだっけか」
聞こえてない、聞いてないってポーズは充分受け入れられていたらしく、二人はこっちを一瞥するとまた、窓の外に意識を向けた。
ねえせんせい。なあに。せんせい。うん。せんせい?そうだね。
車両の下で線路が叩かれる規則的な音に邪魔されて、切れ切れに聞こえる会話は、それだけのピックアップだけでもまるで、どろっどろに甘かった。
付き合ってんだろ?って言ったら負けだ。
そしたらこの嘘付き二人は声を揃えて「まさかそんなバカなこと」って笑うだろう。そんな架空の想像に、毎日毎日神経を擦り減らされている俺は、やっぱり気づいた時点で沖田と登下校の交通手段を別にするべきだったんだ。
そしたら、今日ここで、目の前で、この二人が並んでいるのをみることだってなかったのに。
「ちょうどよかったよ、駅でお前らに会えて」
なにが保護者との面談だ。しらじらしい。
こいつの身内は一家そろって先週から他県に行ってんだよ。そんくらい知ってんだよ。
ななめ前の座席がひとつ空いている。
いつもみたいに、沖田の腕を引っ張って知らせてやることもできない俺は、悔し紛れに銀八の背に、呪いを飛ばした。
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