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日曜日

折り畳みで小話です。
捏造上等。

「ひなたの色なんでさァ」

目だけでぎゅうと笑みの表情を作って総悟は俺に、そう説いた。

「昔は悪目立ちして随分とうんざりさせられやしたがねェ。近藤さんが俺に言ったんです。『総悟よォ、お前のその髪の毛の綺麗な栗色はなあ、お前を気に入った神様が、天の上からでもすーぐ見つけられるように、わざわざきんきらにしてくださったんだ。特別だ。だからなあ、滅多なことはしちゃいけねえ』・・・」
「なんか悪さでもしたのか。説教入ってんだろそれ」
「食い逃げを少々」
「おいおい」
「五年前かな。野草とかお供えもんとって食ってるあたりです。若気の至りってことでひとつ」

五年。こいつが道場に拾われてすぐのあたりってことか。
近藤さんはあけすけなようでいて、俺にこいつのことを「事情持ちらしい」としか話さなかったから、俺は最初、こいつについては名前くらいしか知らなかった。

遠い日のことを思い返すと、不可抗力の懐かしさに胸が締め付けられた。
どろどろで、手足が棒みたいに細くってろくに言葉も話さない、目ばかりぎらつかせた小さな子供。
敵意むき出しだったのが、水と飯を食うようになって、口をきくようになって、剣を覚えて、笑うようになって。はじめて「近藤さん」って呼んだとき、あの人は半時くらいびいびい泣いてたっけ。

「んで。そのあとお前は近藤さんのもと更生し、公明正大、一点の曇りもない清らかな人生を歩むようになったわけか」
「そうだったら物語としては上々ですけどねェ」
「歯切れが悪ぃな」
「そうじゃないのなんて、土方さんが一番知ってんでしょ。意地が悪ぃ」

近藤さんの諭したとおりに食い逃げをすることはなくなった。
だけど代わりに、人を斬るようになった。
それが寝食を得るために、近藤さんを護るために選んだ道だというのだから、どっかで帳尻はあっているのかもしれないが。

「ああ、もうひとつ後ろ暗い話」
「まだあんのか」
「誰かさんに悪い遊びを教えられた。」
「そりゃあイイコト、の間違いだろ。あんな楽しい遊びはねえ」
「夜は寝る時間だって、近藤さんは言ってやした」
「ひなたが枕に散らばってんだ。早寝するわけにいかねえだろ?」
「俺が理屈屋なのは、あんたのせいじゃねえかなあ」
「お前が俺の色に染まるタマか。元々だろ悪餓鬼」

むしろ俺が、こいつの色に染められたんじゃないかっていう、悪夢の見本。
ひなたの、ぬくい柔らかな色を抱きこむたびに、離れがたいと思ってしまう。
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