金曜日 折り畳みで小話です。 カーテンが揺れるたびに波打つ影の満ち引きが、十一月に相応しい厳しい気温を連れてくるから、くしゃみのひとつもしたくなる。 「閉めろって」 「もうちょっと」 「寒くねえのか」 「寒いの?」 「少しな」 「俺は平気でさァ」 「ガキは体温高くて羨ましいよ」 髪の表面をさやさやと、痛いような冷気にそよがせていた総悟が振り向いた。 鼻の頭が赤い。意外と季節は平等に、俺にもこいつにも去ってはまた訪れているようだ。鈍感なの? 総悟がちょいちょいと手招きをする。 俺は呼ばれるままに、膝で進んで近くに寄った。 「なに・・・う、わ」 ぴたりとくっついた低温の、人の掌の形に思わず声が漏れる。 にやりと笑った愉快そうな顔が目の前に迫る。キスには足りない距離だった。 「・・・つめてぇって」 「アンタの方があったかい」 「そりゃそうだろ」 「じゃあアンタの方がガキなんだ」 可笑しさが込み上げてくるのに負けた。 それじゃあ、どっちかのくしゃみを待って、窓を閉めようか。 そうしたらもう一回二人で床に転がって、冷たい指先と熱いくらいの額の温度差について、ばかばかしい比べっこができる。 PR