水曜日 折り畳みで。 お友達から始めましょうと契りを交わしたことは勿論、土手で殴りあった後に俺達友達になろうぜ!なんて誓い合ったこともなかったから、ふたりの間には、名前なんてなかったのだ。 「・・・・・・」 今日の出来事も明日の予定も唇に乗せずにひたすらに、沈黙を生産し続ける。 土方がそんなふうだから、沖田もつられて黙りこむ。 手、ばかりが忙しい。 絡まって、深くなって、脈を打っているのが伝わって、汗ばんで、そして繋ぎ直す。 「土方さん」 ななめ前を急ぐ土方が、マフラーに半分埋もれた顔を捻って、振り向いた。 「恥ずかしいなら、無理にこうしなくてもいいんです、よ」 沖田が「こう」と言って掲げた、ふたり分の片手の繋ぎ目に、ふたり分の視線が落とされる。 「・・・次の信号まで行ったら離す」 「うん」 回り道、迂回、遠回り。 繰り返して繰り返して結局、おうちにつくまでついぞ、信号なんて見当たらなかった。 PR