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土曜日

そんなこんなでOSAKA行ってくるですよー。

おりたたみで、ペーパー用ボツネタをのっけておきます。
「この展開から触手とかに持って行けばエロくなるんだろうなあ」ってしみじみ思いました。




「あいつら、いったい何なんでィ」
「そうだな…」
「ちくしょ…」
膝を抱えた総悟は、顔をうずめて更にひとまわり小さくなった。
首筋に浮かんだ線が、襟を赤く滲ませる。たぶんこれだけではない、俺の後を追うのがやっと、というスピードは、駿足自慢の普段のこいつならありえない事態だろう。どこかほかにも、痛めているに違いない。

校内は既に、足の踏み場すらなかった。
床という床に散乱するガラス片。壁には一面、赤い飛沫が染みをつくっていた。
砂煙が行き先を阻み、逃げ惑う生徒の嗚咽と慟哭がこだまする。

三時限目のチャイムが鳴り終わるのと同時だった。
窓際の生徒が、空に浮かぶ黒い影に目を止めた。
「なあ、あれって」続く言葉は、クラスメイトに届かなかった。次の瞬間、教室からは日常が消えた。空からの侵入者は、いともたやすく強化ガラスを押し破り、死神の笑みを崩さずに、その鋭い爪を最も正しい方法で使用した。
一人目の悲鳴は、この惨劇のホイッスルだった。

俺は前の席に座ったまま呆然とする総悟の腕を引いて、屋上へと急いだ。
屋上には、先日完成させたばかりの結界が張ってある。外へ逃げる時間はなかったし、まったく無防備な校内よりは、いくらかましだろう。

まさか『奴ら』が俺の正体を、居場所を。かぎつけていただなんて。
いつかは、と危惧していたが、それは半年・・・いや、少なくともあと二月くらいは持つだろうと踏んでいた。
(馬鹿野郎だ)
自分の甘さ。ふがいなさ。
屋上に辿り着くまでに目に映った、顔見知りが傷つく姿が脳裏をよぎる。
思わず自分の頬を張った。
「!・・・土方さん?」
「ああ、悪ぃ・・・」
「しっかりしなせェ。大丈夫でさァ、いざとなったら剣道部主将の俺がついて・・・、!っ」
「やっぱり。お前、どっか怪我してんだろ」
「こんなん掠り傷だし、アンタ一人ぐらい楽勝で護れる」
明るく言い放つ総悟の声には、真新しい恐怖が透けて見えていた。
クラスメイトの倒れる瞬間も、廊下の血だまりも、その青い目に映しては、一葉ずつ記憶に焼きつけてしまったんだろうに、強がって笑おうとするその様子が、いじらしい。
「…ばぁか」
どくん。
左手の刻印が熱を持つ。
俺の中のもう一人の俺が、目覚め始めたのだ。
魂に、呼ばれる。
「…お前は、俺が護るから」
「ガリ勉の土方さんが?」
「護る。約束する」
「土方、さん?」
総悟の首元に唇を触れたら、赤く痛ましい傷はなめらかに白く、修復された。
『俺』のチカラは、数年ぶりのお目覚めだってのに、随分快調らしい。
そのまま、唇を耳の下へ。
どうか強運の星の元に生まれたお前の加護を、俺と、もう一人の、『俺』に。
「無事に戻ってきたら、続きをしよう」
「土方さん?アンタどこへ、」
「これは俺の戦いなんだ」
指先から立ち上る青い火花を額に預けると、総悟の身体がぐらりと揺らいだ。
右手で抱きとめる。ずしりと重い、生きている人間の証。
(必ず、戻る)
『奴ら』の咆哮が校舎を震わせる。
俺の左手が共鳴し、解放の瞬間を、待っている。
「存分に、暴れな」
背中に残した、やわらかな寝顔を護るために俺は、舞台へと踊り出た。
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