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無題




ジャンプ買ってくるって言い残して消えた沖田さんは、「じゃがりこ売れ切れだった」て言いながら帰ってきた。
半年経ってた。

「山崎髪切った?」

髪くらい切りますよ、と内心毒づきながら麦茶を出す。
季節も変わるっつーのという俺の抗議はきっとささやかすぎて永遠にこの人に届かない。

「嫌味かィ」
「はい?」
「もう夏だなァ」

届いた。永遠なんてない。

「どこ行ってたんですか」
「んー。あちこち」
「そういうことじゃ困りますよ。あんた腐ってもうちの幹部なんですから」
「除籍に」
「なってません。普段バカなくせに小賢しく休職申請の体裁整えてから出ていきやがって憎たらしいったらないですよ。で、」

今までどこに、といざ追及する前に。
がらりどてんどたどた「近藤さん大丈夫かよ」なんていう騒音のかたまりが迫ってきて俺の発言権は消滅した。

「総悟!」
「近藤さ、」

殴られて抱きしめられて元鞘だ。ばかやろうしんじまったかと思ったじゃねえか、とおいおい泣き笑いする局長に、沖田さんがちくりと悲しそうな表情をした。一瞬。沖田さんの良心をとがめさせられるのはこの人だけ。

たぶん今夜は宴会だ。
今日に限ってお偉いさんの護衛が入ってた副長もそろそろ車飛ばして帰ってくる。
あの人なんて更に甘いから、一発殴ってそのあと「近藤さんの生き別れの妹を探しに行ってたんでさ」とかなんとか沖田さんがしゅんとすれば局長よりも簡単にほだされんのだ。

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