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日曜日

折り畳みで小話です。

「あー。というわけで新しい仲間を紹介する!沖田総悟ちゃんだみんな仲良くするように」
「よろしくおねがいしやーす」

朝礼での近藤さんの紹介にどよどよさわさわと動揺が広がる。
まじかよかわいい、まぶいな上玉だと野郎どもの興奮が部屋の温度湿度を二度ほど上昇させて暑苦しいことこの上ない。

(なんで自然に受け入れられてんだよ)

淡々と業務分担を説明した近藤さんも、「負担が大きかったらすぐ相談してくれ」なんて親しげに笑い掛けている。にこ、と笑い返す沖田とかいう女の態度は堂々たるものだ。びくついた様子はまったくない。
俺は部屋の隅で苦々しく煙草のフィルターを噛みしめる。

「以上だが、なにか質問のある奴はいないか。あっスリーサイズとかそういうのはいかんぞセクハラだ。真面目な質問を頼む」
「あの、局長」

山崎がすっと手を挙げる。

「沖田さんのお部屋どうしますか。待機室とかはまだしも、就寝や着替えする私室を平隊士との相部屋にするわけにいきませんし」
「ああそれなら問題ない。トシと同室にしよう」
「はあ!?」

初耳だ。
思わずすっとんきょうな悲鳴を上げた俺に部屋中の注目が集まる。

「なんっで俺だよ!」
「いいなー副長」
「やっぱりこういう時は土方副長だよなあ」
「いやお前ら普段はこういう時死ね副長とか散々じゃねーかなんで今回に限って肯定ムード!?」
「はいはいお前ら落ち着く!」

近藤さんがこほんと咳払いして続ける。「俺から説明しよう」

「まあこのとおり総悟・・・沖田さんは非常に見目麗しい。かわいこちゃんだ。こんな完璧美少女が俺らのようなむさくるしい連中の中にぽーんと放り込まれるなんて、きっと本人も不安に違いねえ」

沖田は近藤さんの言葉を受けて、無表情のままピースサインを出した。

「……だが、副長であるトシと同室ならどうだろう。トシはこのとおり女慣れしてるし、うっかり同室になったからって女の子にほいほい手ぇ出しちまうような下衆じゃねえ。信頼のおける男だ。沖田さんもそういう男の元なら安心して過ごせると思う」
「近藤さん……」

考えなしってわけじゃなかったのか、という感動といやそれにしたって年頃の女を独身男性の部屋に住まわせるなんて非常識だろという葛藤がもやつくが、俺がそれを口に出す前に、今度は沖田がすっと手を挙げた。

「手ならもう出されやしたぜ」
「――――え?」
「あり。もしかしてまだ報告がいってなかったんで……すいやせん今のは聞かなかったことに」
「トシィィィィィ!!???」

近藤さんの絶叫が屯所に響いた。
沖田はしおらしくしゅんとうつむいて、俺と目が合うなり本日二度目の、ピースサインを作ったのだった。
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