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月曜日


今日昼にカレー食べたらものそい眠気に襲われたんですが、以前もカレー食べたらそうなったことあるんですよね。これはなんかインドの陰謀では。わたしこの間ともだちに「インドは最終的に世界を制圧する」みたいな話をきいた!ような気がする!うすぼんやりと!
ちょっと頭までゴールデンウィークですね。そろそろ通常営業に切り替えたい。


折り畳みで小話です。
たぶん四回目くらいの振動で着信に気付いて携帯を手繰った。

「総悟?」
「ご無沙汰してます」
「何時だと思ってんだ」
「えーと五時。朝の。社会通念上の早朝ですねえ・・・切ります」
「いやいやいやいや切るくらいならかけてくんなよ死ね」

ぼんやりする頭を無理やり覚醒まで持っていこうとするけれどゆうべも終電だったのだ。
こうして話している間にも気を抜くと瞼が落ちる。枕に顔をつければそこから快適な眠りの世界が広がっていると知っているくせに俺の身体はどうするのが正解かを知っている。
だってこいつの、総悟の声を聞くだなんて二年ぶりだった。

無暗に頭をぶん回しながらあくびをこらえて。
七回目のベルで電話に出る、っていう歌があったようなとひとりごとみたく呟くと、それはもう十年も前に流行った曲だとあっさり総悟が曲名を教える。

「思い出した」
「なによりです。んじゃ」
「おいおいおいなんか用事なんじゃねえの」
「用事という用事はねーんですが、まあ土方さんが健やかに息をしているなら・・・チッ。まあなによりですよね生存確認みてーなもんでさァ」
「おっまえ本当に奔放に生きてんないっぺん説教してやるから上京して来いその根性叩き直してやる」
「いやー俺だってそこそこ社会に適応してるつもりでさァ」
「早朝五時にカネ借りてる人間相手に電話してくる奴がか」
「さすが土方さん」

エヘヘなんて笑い声を洩らしながら、「郵便受けをご覧ください」なんて言う。
俺は携帯電話を耳にくっつけたまま、言われるがまま、ベッドを抜け出して短い廊下を進む。
まだ暗い外からかすかな蛍光灯の明かりが隙間から差し込んで、視界を助けてくれた。
郵便受けには朝刊と、無理やり詰め込まれてひしゃげてしまった封筒が押し込まれていた。

「これ・・・」
「本日にて返済完了です。これでうまいもんでも食ってくだせぇ二十八歳!」

封筒には総悟の無駄に達筆な字で、『今まで申し訳ありませんでした』と他人行儀な文字がつづられていた。


***


「げっ」
「このバカ」
「だっ」

出会いがしらに殴ると、バス停付近にたむろしていたほかの乗客たちが何事かといったようすでちらちらと覗いてくる。軽く礼をして取り繕うと、曖昧に視線をそらされる。

「なんでここが」
「俺の部屋に朝刊が差し込まれるのは五時前後、お前の封筒が朝刊に押し込まれる形となっていた状況から、お前の来訪は電話の直前だと予想された。そしてそんな時間に遠方に住んでいるはずのお前が訪ねてくるための足といったらこの高速バスが可能性として最も高かった。アクセスや価格の面からもな。だろ?」
「うわっきもちわる・・・」
「謝れ」
「スイマセン」
「現金の受け渡しは慎重にしろ」
「・・・スイマセン」
「あと朝五時の電話とかありえねえ。俺の勤務はなんのへんてつもなく九時五時だ一応」
「スイマセン」
「それと俺は二十九歳だ。今日から」
「えっ」
「じゃあ飯食いに行くぞ」
「えっ」
「なんだよお前が言ったんだろうまいもの食えって」
「いやでも土方さんはいいんですか」

なにが、と聞き返す前に自分の姿を上から下まで確かめる。
たぶん寝癖もそのままだしパジャマがわりのスウェット姿だし、足元は通勤用の皮靴だ。よくねえ。

「一回帰って着替える。車回してくるから待ってろ」
「いやそういうんじゃなく」
「あ?なんだよ」

めずらしく困り顔の総悟の手を、めんどくさくなって問答無用で引っ張った。
ちょうどよくのぼってきた朝日に照らされて、まるで感動の再会みたくなったので笑えた。すごく笑えた。総悟もしまいには笑ってたので、たぶん往路のバスはよく眠れてなかったんじゃないかと思う。そういえばうっすら青い顔をしてた。
これだから寝不足はいけない。
部屋に戻ったらとにかく眠って、飯はそれからでもいいなと予定を組み替えた。



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