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金曜日

結論:私はやっぱりホモが好きだな。



折り畳みで小話です。


沖田総悟はうるわしい。
ずばーずばーと次から次へ、悪人たちを縦から横にしてしまい、ひゅっと刀を振ったとたんに鮮やかに赤い花弁が宙に舞う。
いつでも花を背負っているのだ、こいつは。
「ご苦労」
床に散らばったのはべちゃべちゃした血液だったりなんだったり。
ほんのひと時前まで同じ人間の身体の中にあったもの。それを踏みしめて近寄る。
「ご苦労、じゃねーや。一番隊の割り当て膨らみ過ぎじゃねーですかィもちっとどうにかしてくだせェ」
「過不足なく任務遂行できてるだろうが」
「本気でそう言ってるなら引導渡しやすぜ」
「はいはい善処いたしますよー」
使えねェの、って疲れたように吐き出して、背を向ける。実際疲れただろうと思う。この惨状、この仕上がり。
火気厳禁の現場でまさか煙草なんて取り出せない。
胸ポケットは空。あらかじめ取り出して置いたのも忘れてもたもたと胸元を探る俺に、総悟が「中毒」と批判的な音のこもった独り言を。
腕をとる。不意を突けたようだ、あっさりしたもんだ。
逃げられないようどこまで許すか計りながら、まずは肩を抱いた。その両手を腰に降ろしていって、すっぽりおさめる形で抱き締める。今日はずいぶんおとなしい。
「・・・・・・離せよ変態」
キスは拒まれて押しのけられる。
俯き気味の美貌には、明らかに不機嫌そうな表情が滲む。
「んだよ」
「外ですんのは好かねぇって言ったでしょう」
「ああナカがいいってか」
「あんたよっぽど、検分される死体を増やしたいんですねェ」
かしゃんと刀を鳴らす手に手を重ねる。
珍しい。
「どうした。なんで荒れてる?」
「―ねえ土方さん。善人も悪人も、斬っちまえば同じですね。」

なにをいまさら。
しかしここでやいのやいのと構うには時間切れだった。
お待ちかねだった監察班が到着したので現場は騒然、有耶無耶になる。



:::::


俺はあんたの隣にいる限り真人間になれない気がすると、いつかいわれた。
そのときは大して気にも留めず、ほんとこいつ俺に悪意向けんの好きだね?くらいのもんだった。死ね糞馬鹿下種、に少し長いセンテンスのレパートリーが加わったんだと。
だけどことあるごとに思い出すんだ。
煙草吸って一息ついたときとか書類に皺作ったときとか斬ったときとか信号待ちのときとか。
こうして、咥えさせてるときとか。
「確かに。」
「・・・ん、っふ?」
「あーあーいいから気にすんな」
きょとんとした総悟はとくべつ追及することなく、一瞬だけ途絶えた作業に戻る。
唇の先で包んで弄ぶ。弄ぶ。
しばらくすると両手も使って上手に支えて、口蓋と舌でしごいておわらせた。
ご苦労、と場違いな言葉が浮かぶ。

視線を降ろせば、肩で息した総悟が口からべろりと俺のを吐きだして、「うわ、汚ね」と顔をしかめる。
「なんか拭くもん・・・あ、これでいいか」
乗り上げてきて、手を伸ばして、俺の髪の毛で拭おうとするからいや待てよしなさいコラと必死で防ぐ。えーなんでーと急に無邪気な声を出す。
向かい合って抱き合うような体勢で、下の毛もその下も濡れたまんまでくっついて脱力する。
「つかれた」
「なんだよ突っ込んでもねえのに」
「やーもう俺限界でさァ顎も腕もぜんたいだるい・・・そうだ」
たまには突っ込ませてくだせぇよう、ときらきらした眼をする。俺は迷った末に、「総悟お前さ」
「たたねーくせになにいってんだ」
「気合いでなんとか」
「なんねーよ」
「土方さんはよくたつお方ですねェ。男相手に。この変態」
「お前が相手だからだよ」
「そりゃどうも」
へらへら笑う。俺も笑った。
うそっぽいなあうそなんだろうなと思ったんだろう、総悟は。でも実は本当のことだ。

尊敬する人、愛した女、裏切った男、羨望した強さやひどく傷つけた後ろめたさ。共有する罪の意識と優越感。
触れるたび喚起される、綯い交ぜになった感情と記憶に興奮する。そうさせてんのはこいつだ。
こいつだけ、世界で異質なんだ。
善人も悪人もぶすも美人も老婆も坊主もなんだって、斬ったら同じ。ただの死人。いやってほどわかってんのにわかってたはずなのに。
死なない気がするなんてばかげたことをうっかり信じそうになる。

花を背負って人を斬る。死人の山に花を飾る。鮮やかに。
総悟はとてもうるわしい。

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