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日曜日2

昨日教えてもらったサイトさん回ってたら、思いのほか女子沖が大漁で幸せです。
す~ぐ影響されるなあ。

折り畳みで小話です。女子高校生沖田。


明日から早い時間のバスで登校する。
それだけを伝えに、土方さんがわざわざ我が家を訪ねてきたらしい。
「朝の講習があるんで」
「あら、大変ねえ。ごめんね、そーちゃん今ちょうどお風呂だから。あがって待ってて?」
玄関からの二人の話す声が近くて、慌てて隠れた。
髪の毛を拭いていたタオルをぎゅっと握りこむ。待ってられるだなんて冗談じゃない。こればかりは、いくら善意からっていったって、お姉ちゃんを怨んでしまう。
結局土方さんはお姉ちゃんの提案を辞退して、早々に帰った。
ドアの閉まる音を聞いてようやくそろそろと居間に足を踏み入れると、お姉ちゃんは慌てた様子で駆け寄ってきた。
「今ちょうど十四郎くんが来てたのよ。今ならまだそのへんにいるかもしれないわ」
「へーき。だいじょうぶ」
「そーちゃんと話したそうだったけどな」
「いいったらいいの」
ちょっと不機嫌そうな声が出てしまった、のに気付かれたのかもしれない。
お姉ちゃんはそっと首を傾げて、「麦茶冷えてるわよ」と言った。


土方さんと付き合ってるのかって、きかれることは何回もあった。
最初はおもっきし、首をぶんぶん振ってたけど、この頃は曖昧にぼかしてた。「どうだろう」って。だって学校の行き帰りも一緒だし、お互いの家にもよく行き来しているし。
やっぱりそう見えるんだ、ってちょっと得意になってたんだ。
土方さんの気持ちを確かめることも忘れて。
「二年の沖田って、お前の彼女?」
土方さんのおばさんに返すタッパーを預けに、一階上の土方さんの教室に行った時だった。
男子生徒のかたまりが、窓際でだべっているのが見えた。笑い声に混じって、切れ切れだけど会話も聞こえてきた。
その人たちが自分のことを話してるってわかったから、迷った末に教室のドアに手をかけたまま立ち止まる。
「まさか」
「でも仲良いよな。べったりじゃん」
「くだらねえ。まだあいつガキだしそんな目で見たことねーよ」
ちょっと固まって、通りかかりの上級生に怪訝な目で見られているのに気付いてそっとドアから離れた。
すんごいすんごい恥ずかしかった。
耳の奥がきーんとなって、顔じゅう熱くなってるのがわかった。
ばかみたい。勝手に勘違いして、家族公認の仲みたいっていい気になって、当の土方さんは全然そんなつもりなかったんだ。


「総悟」
バスを待っている時だった。内心、げえって思ったけど、顔に出てないといい。「こんばんは」とお行儀よく返事をした。
それでおつとめ終了だと思ったのに、空気の読めない土方さんが、こっちに向かって歩いてくる。先頭から二番目に並んでいたくせに、わざわざ最後尾に着くんだから、社交的な人の考えることはわからない。
「今、部活帰りか」
「はい」
「今日は図書館寄ってたんだよ、俺。ちょうどよかった」
「へえ」
「喉乾いてんだろ。手、出せよ」
「・・・・・・。」
躊躇した。なんせ今日はそうでなくても蒸し暑かったし、汗だくの胴着は着替えたとはいえ、防具の匂いなんてちょっと手を洗っただけじゃ抜けないのだ。
「汗臭ぇんで」
「んなこと気にするタマかよ」
ほら、と言って土方さんがポカリを差し出した。「自販で買ったばっかりだから冷てーだろ」冷やされた水滴が頬に当たって、なんだか。
涙が出た。ぼろっと。
土方さんがぎょっとしたのがわかった。ごろん、と道端に転がったペットボトルが土まみれになるけど、拾うのも忘れてるみたい。
「・・・・・・近寄らないで」



「次のバス停まで歩かないか」
周りの注目を浴びまくっていたので、それには異存なかった。
近寄らないで、と言ったことは華麗にスルーされた。ただでさえ湿気と熱気で暑苦しいというのにこれは、腕をがっちりつかまれて、「連行」と表現するのがしっくりくる。
「ごめんなさい」
ずかずか前を急ぐ土方さんの背中に、ちっさい声で言う。
「迷惑だったの気付かなくて。でも土方さん、ふつうに声掛けてくるから、どうしたらいいかわかんなくって。もう、これからは、忙しいんだから。ぜんぜん構わなくていいんですから、ほっといて」
振り向いた土方さんが、怖い顔をしていた。
目を合わせていられなくて、うつむく。
「なあ。俺達って、付き合ってるか?」
これまでの自分を振り返ってまた恥ずかしくなって、それでもなんとか首を横に振った。
土方さんの意志なんて無視して、自分の都合のいいように生返事をしていたこと。土方さんには、それを責める権利がある。
「俺は付き合ってるって思ってた」
頭上から降って来た言葉が、糾弾するそれではなくて息をのむ。
咄嗟に見上げれば、見たことない顔の土方さんがいて。
「お前だって、外野から聞かれたら否定してないっていうし、俺は、てっきり・・・」
「でも朝学校一緒に行きたくないって」
「強制で講習あるんだって。だから出来れば帰りの時間合わせられないかって、聞こうと思って家行ったんだよ」
「じゃあこの前家来た時それ言ってくれればよかったのに」
「お前風呂入ってるっていうのに平気な顔して待てるかよ」
「でも土方さん、教室で友達に、付き合ってないっていってた!そんな目で見た事ないって」
「あれは!あいつらがヤリまくりなんだろ、とかってからかうか、ら・・・」
夜でよかった。
きっと二人して倒れちゃうんじゃないかってくらい、真っ赤な顔してた。
バスが一台通り過ぎて、次は15分後とのこと。
二人きりバス停に取り残されて、すっかりぬるくなったポカリを持て余す。
「段階を踏みたい」と土方さんが言うので、イエスと返事をしたくなるよな告白を、まずはどうぞ。
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