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日曜日

掃除をするたびに「なんでこれを取っておいた・・・」というのが発掘されるのに、今日も「たぶん使わないけど一応取っておこう」というものを押入れの奥底に仕舞いこんでみたのであった。
いっそ「半年後の自分へ」つって手紙書こうかな。「多分、貴方はこれを取っておいたこと、後悔するでしょうね・・・」って。イラっとするイラっとするぅ!!

折り畳みで小話です。


澄んだピアノの旋律が遠く風に流れていくのを耳にして、思わず顔をあげた。
俺の部屋の、おんぼろの出窓が羽みたいに開け放たれて、音はそこから漏れていた。

「まさか」と「もしかして」の間で揺れて、考えて、それでも足が勝手に動いていた。
ドアを蹴破らんばかりの勢いで撥ねつけて、螺旋階段のまどろっこしさがいつにもまして憎らしい、俺は、期待が打ち砕かれる怖さなんて一瞬忘れてひたむきにその部屋へ飛び込んだ。

「おかえり、総悟」

かくして感動の再会はかなえらえた。
走るのなんて久しぶりだった俺は、肩で息をしつつ頷いて、呼吸が落ち着くのを待った。
鍵盤の上に両手を置いた土方さんは、ゆっくりとチャイコフスキーをなぞる。

「・・・戻りはいつ頃?」
「顔を見た途端にそれか。」

一瞬だけ俺に視線を向けて、「こっち、帰って来ようと思って。」そう言うとまた続きを弾き始めた。
たまにメロディを外すけれど、聞き苦しい程じゃない、きらきらした音の洪水。
レッスンをつけてもらったのはほんの子供の時だけのくせに、年に数回は気晴らしだとか言ってこうしてピアノに触れていた。
神学校に進むと宣言したのは五年前の冬だ。
まわりにろくに相談もしないでさっさとこの屋敷を出て。
一年に一回、恩師の近藤さんに顔を見せに来るものの、その日のうちに慌ただしく、とんぼ返りで戻って行く姿を見てた。
首席で卒業したというのは噂で聞いて、その後はそのまま都会で教職に就いたって話だし、もうてっきり向こうの人になったのだとばかり。

「歓迎してくんねーの?」
「・・・ようこそ?」
「じゃなくて」
「おかえんなさい。」
「おりこうさん」

いつの間にか、チャイコフスキーが終わってシューマンに繋げられていた。
好きなんです、って今言ったら。
曲のことだって勘違いしてもらえるかもしれないって、誘惑に負けそう。
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