日曜日2 折り畳みで小話です。 なんてこたーない話なので消すかもです。 コンビニ袋を白い猫だと見間違えておっかけて、車にはねられた。 その報告を耳にして開口一番俺が言った言葉は「あのバカ」だった。 ほかになにを言うことがある。3つ4つのガキじゃあるまいし、それが齢18の男子のすることかと。 奥歯で噛み当てた石を吐き出して、なにごともなかったように茶碗の中の飯をかきこむ。 それを目敏くみつけた山崎がすみません、と謝った。 「この頃多いんですよね食材に不純物が混ざるの」 「そうなのか」 「仕入れ業者に一言入れておきますよ」 「別にいい。お前の分掌じゃねーだろ」 雑務全般を任せておいてなにをいまさらどの口が。反発されるかと思いきや当の山崎はとくべつ不機嫌になるということもなく。 「俺なんてこの間サラダ食べてたら千切りキャベツの下からカメムシが出て来たんですよぉ」 「食ったのか」 「いやいや口に入れる前に気付いたわけですから食べてませんよ!副長も気をつけてくださいね、マヨネーズ和えにしたところで誤魔化せるもんじゃありませんから」 アハッ、なんて面白くもないのに笑う。俺も付き合いで笑ってやれればいいのに、こういうところが足りてないんだろう、俺は少しも笑えなかった。 山崎がわざとらしく声をひそめる。コホン、なんて咳払いまでして。 「沖田さん、快気祝いは焼肉がいいそうです」 「あ、そう。」 「担当医から正式な退院許可が下りるのは午後なんで、まだオフレコですけど。最終的には副長に報告する件ですし構いませんよね」」 なにあいつもう退院できんの、と呟いた声があからさまにほっとしましたって様子で、そんな自分に赤面する。 「マヨネーズ断ちまでする思い詰めようだった人が何をおっしゃいますか」 「たまたま忘れてただけだ」 「はいよ。あ、それと焼肉は銀座の慮慮園で。くれぐれも副長のポケットマネーでお願いしたいとのご希望でしたのでよろしくお願いします」 「死ねっつっとけ」 「『お前が死ね』だそうです。や、沖田さんからそう伝言預かっただけなんで俺を!殴らないでください!」 山崎を追っ払って、食事を再開した。 トレイの上には、さっき吐き出した小石が残っている。 もしかしたら今まで気付かなかっただけで俺は、無数の石だの虫だのを飲みこんでいたのかもしれない。けれど気にしないことだ。野菜につく虫も喉に引っかかるような小骨も歯に障る石も、よっぽどじゃなけりゃ害にはならない。 たぶん俺は意外と単純。飯が旨かった。 PR