日曜日 総悟「土方さんおれドーナツの真ん中がたべたいでさ」というネタをツムジさんが披露したものだからヤ~ダァなにこのSOGOTANかーわーいーいーリリカルリリカルドリリンパ!と大興奮大喝采さすがツムジさん伊達に土沖サイトやってねえぜ!とほめたたえたってのに土方「総悟…ドーナツの真ん中はな、Dポップなんだぞ」こうして繋いだもんだからオーディエンス総立ちの大ブーイングですよ。わしはそんな答え聞きとうなかった…折り畳みで小話です。 「シュークリーム食べてーなー」沖田君が、ん、と顔をあげた。かわいい顔して。俺の偽物のおっぱいふにふに触ってるよりほかにすることあんじゃないのと思ったりもするんです。「コンビニで買ってきやしょうか」「んーん。ショーケースに並んでるお嬢さんケーキに気押されながら慎ましやかに佇んでいるぽってりとしたシュークリームが食べたいわけよ」「抽象的でわかりやせん」「いーのいーの与太話だから」レースのキャミソールは店でしか着た事なかったけれど、この子が爆笑しながら似合うと褒め称えてくれたもんだから、今ではすっかり部屋着と化している。別にこの美少年を誘惑するために泣く泣くっていうわけではない。こんな恰好をしておいてなんだけど俺は女の子が好き。「沖田くーん、時間いいの?」俺の言葉を遮るように、沖田君の携帯がびーびー鳴った。沖田君はさっきまでまばたきすら億劫みたいな様子だったのに、ありえない早さで反応して、猟犬みたいな早さで携帯電話に飛びてついた。ディスプレイの名前を確認して、にんまーと特上ロースでも食べたような顔をする。「保護者?」「うん。」「うっれしそうな顔しちゃって」「うん。」うれしいです、と真顔に戻ってそんなことを言う。半分ほんとで嘘なんだ。実際、見せて貰ったから知っている、沖田君に届く保護者からのメール本文は『門限。』これのみ。常に。素っ気ないなんてもんじゃない。なのにそのメールを全部保存しているってんだから呆れてしまう。沖田君は、なるべく家にいないようにしている。以前は居候だからってことで、張り切ってご飯を作ったり帰ってくるまで待ってたりしてたんだ。「ハウスキーピングの才能あんじゃないかって思いやした。」そう話している沖田君はそりゃもう得意げで。だけど、待ち人の帰りは毎日毎日どんどん遅くなっていった。七時、八時、しまいには日付をまたぐくらいに。「仕事だからなあ、って全然疑問に思ってなかったんです。でもあるとき、玄関の電球切れちゃって。十二時回ってたけど、近所のコンビニまで出掛けたんです。そしたら」そしたら。その通り沿いのファミレスで、灰皿てんこもりにしてだらだら飯食ってる保護者を見てしまったらしい。「ぜんぶ余計なお世話だったなんて、そのときまで全然思いもしなかったんでさァ」煙草を吸ってるのも知らなかった。手料理自体苦手なのかもしれない。人の気配がすると落ち着かないのかもしれない。ひとつ不安になるときりがなくて、だけど出ていくにも手持ちのお金なんてなくて、とにかく顔を合わせない様に気に障らないようにしようと必死だったという。こんな話を聞かされては、なけなしの同情心も総動員せざるをえないわけで。くしゃっと頭を撫でてやれば目を細める。眠くなるんでやめてと払われて俺もそうねと引き下がる。沖田君から泊りたいとねだられたことはないし、俺も泊まっていけばなんて言わない。だから気楽なのかもしれない。「んじゃ帰ります。」「おうとっとと帰んな。おやすみベイベちゃん」投げキスは華麗に避けられて、ドアの向こうの暗闇に溶けた。沖田君のバイトが夜勤シフトじゃない限り、ほぼ毎日やってきていたからその日も気楽にドアを開けた。「ほいほーい」「どうも」「……どなたさん?」「失礼」差し出されたのはどっかで見たよな名前の名刺。そして見逃せない、小脇に抱えたストライプと花柄の包装紙は、俺の好きな(というより滅多に味わえない憧れの)洋菓子店のものだった。このあいだ沖田君に熱っぽく語ったら、次の給料日のときご馳走するって言ってくれたところ。てことは、もしかして。「おたく沖田君とこのパパ?」「…パパ、ではありませんが」「あーはい保護者さんね保護者さん。よく聞いてますよ。で?今日はなんのご用事?」「うちの総悟がいつもこちらにお邪魔しているようなんで、ご挨拶に上がりました。」うちの、というところに妙に力が入っていてピンときた。「いえいえ邪魔だなんてぜんっぜん思ったことないですぅ」「ほんと申し訳ありませんね今後はご迷惑おかけしないようによく言い聞かせますので」ここで、たまんなくいい匂いのする箱が俺の手に押しつけられた。「ほんの気持ちですお納めください。」あらまあ、なんて恐縮したふりをしつつ受け取って、受け取ったらここはいじわるのひとつでも言いたくなってしまった。いろいろ駄々漏れなくせにあくまで本心を出さないつもりの営業スマイル二枚目にちょっとイラッときていたのだ。「これって、そーちゃんのチョイスでしょ?もお~そーちゃんてば、いいって言ったのにぃ。わざわざこの店の選んで買って来てくれたんですねー」「……。ええ。どんなものを喜ばれるかわかりませんでしたから。寝ていた総悟を叩き起こして確認しまして、私が用意しました」「やだーかわいそ~。そーちゃん寝起き悪いのに~」転寝してんのすら見た事ないけど、と心の中で舌を出して悦に入っていました俺は。「手ぇ出したのかてめえ」突然胸倉を掴まれて、ただでさえ安物で外れそうだったリボン飾りがぶちぶちっと音を立てて裂けた。絵的にやばい。助けて通行人、と思ったもののどういうことだ、俺のなけなしのプライドが発動したのかなんなのか、口から飛び出した言葉はあーれーでもキャーでもなくドスの聞いた低音だった。「慰めてやっただけだよ離せバーカ」「……!!」「飯作ってもらって、一緒に食べて一緒にテレビ見て、家に居場所がない家主に煙たがられてるって話聞いてそーかー大変ねって相槌打ってただけだ。殴られる覚えはありませーん」途端に、二枚目の保護者は顔色を変えて、悲壮感ばりばりの表情を隠すように項垂れた。おっぱい揉ませたことは黙っておこう。「いやいやその前にあいつも俺も男だしね、手の出しようがないってか、」「関係ねーだろ」「…言っときますけど。こちとら顔かわいいからって手当たり次第のケダモノってわけじゃないし、そうじゃなくても弱ってる仔羊ちゃんに欲情してあわよくば関係もっちゃいたいナーみたいな思考回路の屑じゃねーんだよ」「もうそんな正論言ってる余裕ねえよ…」二枚目は、モノにできんならつけ込みたい、なんて呟いた。俺はワーオと肩を竦めた。ちょっとしたケダモノで屑ではないか。いや耐えているんだから未遂の未満か。「なんか……ゴメン。頑張れ。」「うるせーよ」「あ、でもホント俺は沖田君をいやらしく弄ぶとかこれっぽっちもなかったから。精神的に支えてやってただけっつーか。」「やってないってのが余計に腹立つわ」「んじゃやっときゃよかった」「ぶん殴るぞ…」「嘘嘘嘘です俺はそういうんじゃないです安全パイですから殴らないでください」ここでファイトが始まったりしたら愛しのシュークリームの箱が激しくバウンドしたのち地を這うことになりそうだし。話し合いは大事だよ、と無難なことを言って追い払った。これから帰宅後に誤解だよ誤解だったんですねと茶番を繰り広げて抱擁のひとつでもかまして、そして。「ごちそうさま」これを今言わずにいつ言うのか。沖田君はたまに連絡をくれる。電話だったりメールだったり。それもだんだん頻度が落ちてきていて。もう二度と会うことはないのかもなあと思っていた矢先、沖田君はひょっこり現れた。いつものと違うのは、それが夜じゃなく昼間だったことだ。インターフォンに呼ばれてトランクス一丁で玄関に出ていったら、いた。「旦那が男に戻ってるー…」「オールウェイズ。」けたけた笑う沖田君はやっぱりかわいい。「その後どう?」「どうっていうと」「こないだメールくれたじゃん。また前みたくご飯作ったりしてんでしょ。あれやってる?ご飯にするーお風呂にするーそれとも、」聞いた俺がばかだった。があっと顔じゅう、耳まで赤くして「それ吹きこんだの旦那だったんですかィ」なんて言うから、昼飯もまだだってのにお腹がいっぱいになる! PR