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日曜日

人生を謳歌している優男・山崎のモノマネをさせたら土沖界で十本の指には入るんではないかと自負しております、こんばんは木綿です。


しかし梅雨時は洗濯物が乾かなくって困りますね。よりによってシーツと毛布という大物を洗ってまって後悔中です。しくじったわ…だまって放置していても湿ってしまうこの天気だってのに…
折り畳みで小話です。女子沖。
 


土方さんが簪をくれた。薄紅の蝶々と金色の花弁を合わせたやたら豪華なやつ。
短い髪には似合わない。
というより趣味じゃない。
すこし呆れて、でもとりあえず「どうも」と言って抽斗にしまう。お披露目する日はきっとこない。




昨日のことだ。
もっと若い娘らしく明るい色を着た方がいいと万事屋の旦那がいった。

「なんですそれじゃあもしかして、チャイナが赤とか黄色とかを好んで着るのは旦那のお見立てで?」

いやいやあいつは元々そういう色が好きなのよ、と旦那はなんでもないよに否定したけど、どうだろう。





「総悟」

自分の部屋に鍵をつけろとうるさいくらいに勧めてくる当の本人が、主の「どうぞ」もろくに待ちもせずに部屋の扉を開けるってどういうことなの。
不満をいったらきりがないから今日も返事もすることはない。ささやかに抵抗。
寝転がってしゃぶっていた指をついと抜いて、視線を上げると土方さんのしかめ面が待っていた。
さすがに大きく開いた襟と裾は直す。たぶん雷が落ちる。

「だらしねえ恰好してんなよ。さっさと着替えろ」

溜息もでるってもんだ。いつもこうだ、文句ばかり。

「着替えろって、お客さんでもいらっしゃいましたか」
「客でも来ねえとずっと寝巻きのままかてめえは」
「寝巻きじゃねえんですけど」
「私服かよ。いっつも泥みてえな暗い色ばっか着やがって」

これにはかちんときた。

「あんたが寄越す毒虫みてえに派手なもんよっかマシでさァ。なんでィいっつも、適当なもん押しつけてくれやがって」
「なに怒ってんだ」
「とぼけなさんな。つまるところ俺ァ、近藤さんが断られた貢物の最終処分場でしょうや。着物も帯も簪も、いくら俺が無頓着でもそんなん着られるわけねえだろィ」

だから実のところほとんどが、包みをといてまた元通りに仕舞ったものばかり。
せっかく貰ったところでそれは、日の目を見ることなくずくずくと腐っていくんだ。どんどん変わる流行に置いていかれて。
癪じゃないか。

「あのなあ」となにか言おうとしたものの結局土方さんは口を閉ざして、そのままぺたんと床に座り込んだ。


「悪かったよ」

思いの外、素直な謝罪の言葉だった。
いっそ拳でわからせようかと次の手段を考えて片手で持てる鈍器を探していた俺はちょっとあっけにとられてしまう。

「なんです。きもちわりぃの」
「ずっと腹立ててたんだよ。なんで俺がやった着物に袖も通さないのかって。髪飾りも紅も、なにひとつ封を切ってる様子もねえし。俺のことがそんなに気に食わねえのかって」

そうか、てぶつぶつ言って、なにやら勝手に納得した様子。
覗きこむと、うっすら笑みすら浮かべている。こわい。

「えっと、土方さん?」
「ちゃんとお前のために選んだんだよ。俺が」

思考が一瞬停止した。

「…だって金銀珊瑚のそれってどう考えたって俺に似合わねえし、俺のためだっておもうわけがないでしょう…」
「だから、悪かったって。ちゃんと言えばよかったな」

どうしてどうしてってそのあとは、ひたすら俺が照れたせいで、ろくに喧嘩にならなかった。
喧嘩をしない俺達なんて、飛ばない鳥以上に存在意義を問われてしまうっておもってたのに!

少なくとも次に旦那と町ですれ違うときは、俺は慣れない色を身につけている。
へたすりゃ隣に、恋人きどりの土方さんをくっつけて。
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