日曜日2 山崎+スーツ+眼鏡は正直似合うと思いますわ。グレーの細身のスーツでね。 大学生がよくしている木こりルック(チョッキと山高帽をあわせるアレ)もなんなく着こなせそうだし。 ちゅーか山崎も沖田も、なに着せても付けても問題ないんですが問題は土方さんですよ。 土方さんはねぇ…難しいと思うんですわ…眼鏡に限らず私服全般。 とくに夏、アロハもポロシャツも厳しい。チノパンもジーンズも履いている姿が想像できないんですがどうすりゃいいの?葉っぱ一枚あればいいの?(それが言いたかっただけなの?) 折り畳みで小話です。 鳥ユカ先生と検討したネタです。ラブ●スの設定だけ拝借。原作は申し訳ないことに読んだことがねーんでお二人の説明がすべてです…土方祭のフィナーレはスペースオペラ部のにしたいのに! 土方の頭の上にぴんと突き出たふたつの耳をいじりながら、沖田は頬杖をついている。 「眠いなら帰れば」 土方は学級日誌にシャーペンを走らせながら勧めてみる。 返事はない。折り畳んだり撫でつけたりを繰り返す指も止まらない。きっと沖田は、土方がこうされることが本当はあまり好きでないことを、考えもしないに違いない。 沖田には、土方のような耳はない。 頬のラインを辿ったところに、本来の機能を果たす「耳」があるだけだ。土方がもうひと組、頭上に持っているような、立派な獣形の耳は、その丸い頭のどこにもない。 「土方さんて、ケッペキショーかフノーなの?」 いつにもまして執拗に、撫でまわしていた沖田がふいに、口を開く。 「なんでそうなる」 「だって彼女はいっぱいいたでしょ。よりどりみどり、やりたい放題だったくせに…」 なのに、なんでまだ、耳がついているの。 そう訊いた沖田に、からかっている様子はない。一度合わせた視線をもういちど、手元に落として、土方はゆっくり言葉を選ぶ。 「俺はそういうの、一番好きな相手としたいから。」 「そこまでもったいぶるもんかなァ」 とくに力を入れたわけでもないのに芯が折れて、紙面に穴が開いた。かちかちとシャーペンの背を押す音が、静かな教室に響く。 「深く考えないで済ませちまう奴ばっかじゃねーんだよ」 「いやー俺ァ、うっかりどっかにぽろっと落っことしちまったみてーで」 「お前はうっかりしすぎなんだよ拾ってこい」 「土方さん知らないんですかィ。時間って巻き戻んねーんですぜ」 へらへらしているけれどほんとうは、この話題に触れてほしくないのは自分よりむしろ、沖田のほうだ。 土方はそう思っていた。 去年の夏、長く学校を休んでいたかと思ったら、とある金曜日の夕方に、耳を無くした姿で現れた。 いつもながらゆるい担任が、「沖田君は先日まで無人島でサバイバルしてたせいで登校が遅れたそうだ」とのらりくらりと説明をした。 夕方のHRはそれで幕を閉じ、冷やかしと、純粋な心配をしていたクラスメイトが席に押し掛けるのを待たずに、沖田は下校のチャイムが鳴るか鳴らないかのタイミングで、さっと帰ってしまった。 土日を挟んだら今更な気がして、結局だれもなにも聞けなかった。 ひとつ、時間を置いて考えたら。 聞いてはいけないような気がしていた。 「俺だって出来るもんならやりてーよ」 「まー土方さんとて。特別な主義や体質じゃないんなら、まさにやりたい盛りですもんねェ」 沖田の指が、土方の頭上の耳をぴんと弾いた。 土方が睨みつけるのをかわして、あさっての方角を見つめる。 「土方さんさァ」ただ名前を呼ぶだけなのにその前に、ふ、と深呼吸したのを、土方は聞き逃さなかった。 「なんなら俺とやりやすかーなんつって」 シャーペンを折ってしまうかと思った。意外と現実は面白みに欠けて、どっと汗をかいた背中の動揺をあからさまにすることもなく土方は、すらすらと日誌の記入を続けた。たぶん内容はめちゃくちゃだった。 一拍置いてようやく声になったのは、願いのようなものだった。 「お願いします」 「嘘ですじょうだん、え?」 「お願いします。」 「…なんで急になげやりなんですかィ」 「なげやりっつーか俺的には千載一遇のチャンスだし」 「俺のこと、誰とでも寝るインランとかって思ってんですか」 「余計な単語ばっか覚えてるバカだとは思ってる。あと、俺の気持ちにずっと気付かない鈍感野郎、とか」 あとは。 「もっと早く俺のこと好きになればよかったのに間が悪いやつ、とか」 沖田はぱちぱち瞬きをして、そのあと両手で顔を覆った。遅かった。土方はもう、真っ赤になった頬だとか、「ずるい」とつぶやいた唇だとか、ぜんぶ目撃したあとだった。 時間が戻らないなんて知っているから、早く好きだと返してほしい。 PR