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日曜日2

折り畳みで小話です。
あっゴメンこれスペースオペラのネタじゃないって思ってください。もっとスペースオペラブは直球じゃないといけない。じゃないと輝けないよ土方さんが。


このごろ話題のメイ悟ちゃん、これって著作権フリーのネタですかね?
とりあえずメイ悟さんのストッキング、黒バージョンもお願いしたいんですがどうでしょうかーーーー!!(山に向かって叫んでみる)
 


螺子を巻いた分だけ走り出す、馬車の玩具は引き出しの中だ。
ときどき取り出して遊ぶ。もったいなくて、すぐ仕舞う。



ここに来たときの記憶はまだらになって抜け落ちていて、束の中から気まぐれに抜いた絵札のように脈絡がない。
ただ、季節は冬で、沖田は彼――主人である土方――の後に続いて、裸足で屋敷の石畳の上を歩いた。その場面は、鮮明に思い出せる。
前を行く彼は、「実験だ」と言っていた。
だから沖田は、なにか痛くて苦しいことをされるのだと思いこんで、咄嗟に逃げようとしたのだった。だけど扉は当たり前に施錠されていたし、なによりももう、逃げることに疲れ切っていた。
纏っていたぼろ布を大人の腕が掴む。天井からは氷の刃が連なったようなオブジェ。あれは電灯。古い絵画。薬湯を焦がしたような匂い。
そこではじめの記憶の幕は降りる。



降り掛かる花弁の白さに驚いた次の季節。
そこからは、今の自分と繋がっているとはっきり認めることができる。
主人が、「これからの一週間をつかって仕事を覚えるように」と言った。

「手摺にはワックスを」「主人の部屋にはコーヒーを。ただし、前日のご用事が遅くまでかかっているようならば、察すること」「主人が嫌うから生花は飾らなくてよろしい」
指導役だという執事は神経質そうではあったが物腰穏やかで、声を荒げることも手を上げることもなかった。
蛇口の捻り方がわからない、と言ったときはさすがに一瞬表情を曇らせたが、それでも溜息すらつくことなく、丁寧に教えてくれた。
沖田は優秀な生徒だったようだ。
一週間後には、指導役である執事の所作に比べても、「遜色ない」と評されるほどだった。
「あとは教本代わりにメモを渡しておくからそれを参照するように」
それきり、沖田は執事とはほとんど対面していない。



「本日から正式にお仕えさせていただきます。なんなりとお申しつけくださいご主人様」
「ふうん。上等な家猫になったじゃないか」
主人に馴れ馴れしい口をきかない、という教えを守って沖田は口角を引き上げるだけに留めた。
「封書の仕分けは出来るんだろうな」
「イエス、ご主人様」
「そうだあと、今晩出かけるから車の手配を。18時」
「イエス、ご主人様」
「会話の仕方は習わなかったのか」
イエス。
沖田の返事を受けて、主人は背を曲げて、くっくっと笑いをこらえているようだった。
「・・・・・・訂正。まだ飼い猫ほども育っちゃいねえ」
螺子巻きの玩具をくれたのはその時だ。
取引先からの貰い物だという。ほかにあげる当てもないから取っておけ、と付け加えて。



きりきりと音を立てて後ろに引いて、手を離すとその分前に進む。
馬車の細工はすみずみまで精巧で、銅の車輪にも花の模様が刺してあり、御者の帽子は赤く塗って、中を覗くと髭の男爵と髪を巻いた貴婦人が並んでいる。
沖田はたまに考える。深刻に思い悩むというよりも、遠い外国の風景に想いを巡らすような、空想に近い楽しみとして。
これを渡してくれたとき、主人の机の上に散らばっていた領収書の意味を。
店と商品の名前、日付、彼のサイン。
結局その領収書を沖田が帳簿につけることはなかったから、はっきりしたことはわからない。
わからないままにしておいたほうが、楽しいこともあるらしい。
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