忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

土曜日2

本日の討論会、「こういうのがかっこいい土方さんだ」にて練ったイメージ像(抜粋)。

 
【その1】ビジネスライク
「せっかくのクリスマス・イブですぜ。仕事が恋人だなんていつまで言ってるつもりですか」
「仕方ねぇだろ。愛しのコイツがなかなか離してくれない」
土方がコイツ、と言いながら指先で弾いた書類。それには始動に四年の歳月を費やした、インドネシアに建設を予定している発電所のプロジェクトについて叩き出された詳細な数字――といっても、直接関わりのない沖田にはなんら意味の見出せないものだった――が記載されていた。

【その2】スパイその愛
『error』。
入力したパスワードに、ディスプレイの文字はNOを突きつけた。
必要ないと頭では理解しているものの、沖田はそっと振りかえり、周囲の気配に耳をすませた。部屋の主である土方が寝静まったベッドルームは相変わらず、静かな寝息だけが響いている。食事に混ぜた睡眠薬は適切に役目を果たしているようだ。
チャンスはあと一度きり。
再びのミズは許されない。二度目の認証エラーが起これば、セキュリティロックが発動し、このシステムへのアクセス自体ができなくなってしまう。それどころか、この屋敷の隅々まで配備されている毒蜘蛛のような警備員どもが、久方ぶりの餌(手柄)を求めて、我先にと押し寄せてくるだろう。
しかし沖田に、ここで引き返すという選択肢はなかった。
契約不履行。その言葉がちらついて、沖田は頭を振った。
沖田をここに遣わせた「依頼者」に、役立たずの道具だと烙印を押されてしまうなど、あってはならないことだった。
「・・・・・・とはいえ、お手上げだ」
そう呟いたときだった。
途端に青白い画面が、様子を変えた。文字と数字が雪崩れては整列していき、また崩壊しては渦を巻いて、最後にようやくお行儀よく、判読できる文字列に落ち着いた。
彼を歓迎するように。
「任務完了(ミッション・コンプリート)と、いったところか?」
画面に首ったけになっていたため、察知できなかった。
振り向けば、ここ数日間ですっかり見慣れた黒髪の長身がドアに凭れ、艶然とした笑みを浮かべていた。
寝入っているはずのターゲット――土方十四郎――であった。

PR