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水曜日

この二日間仕事で走り回っていたため(エグゼクティブビジネスマン的な意味じゃなく、実際に)えらい疲れました。ここでぐっとこらえて夜中にチョコ食って栄養補給とかしなければ、美容に良かったかもしれないのに・・・

折り畳みで小話です。



このひとより先に、すごくすごく好きになった人がいた。

その人とは、ちょっとの間だけ一緒に暮らした。
甘いものを食べないと目が覚めないっていうから、朝っぱらからココアと菓子パンなんていう、でたらめな食事をした。

「ホットケーキにメイプルシロップかけないなんて、人生損してるよ」
このままでじゅうぶんです、と俺はこたえる。
ホットケーキだけじゃない。
デニッシュパンにピーナツバター、餡蜜に黒糖がけ、苺に練乳。
俺が断ると、「ふうん」とあっさり引き下がる。
俺はその、「ふうん」ていうの、嫌いだった。つまんない奴だっていわれてるみたいで。一旦そう思うと、もう半分意地で、なにかあるごとに、つっかかるようになってしまった。
半年もたたないうちに、だめになった。
「ごめんね」謝られて、悲しかった。

新しいうちで暮らすから、家具も家電も置いていくよ、ぜんぶあげるよって言われたけれど、正直いって貧乏だった俺はすごく助かったんだけど、冷蔵庫は食材ごと彼にあげた。






「一緒に暮らそう」

ずっとこの話題になるたびはぐらかしていたのに。
土方さんは直球だ。こういうところが好きだ。
うれしくってくらくらしたけど、すぐにハイって言えなかった。

土方さんは俺の昔のこと、あんまり知らない。
土方さんは中学高校大学ってそれぞれ別の彼女がいて、男なんて好きになるの俺がはじめてだって言ってた。
「責任とれ」
脅しとかじゃなく怒ってるふうじゃなく、ばかばかしくなるくらい、幸せそうにそう言われたから俺は、言い出せなかった。
俺ははじめてじゃないんです、って。



今日もインターフォンが鳴る。

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