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日曜日

明日も早起きしなきゃいけないってどんなアレだよ・・・(昨日も今日も新宿に行くため早起きした。もう己への憤りやらなにやらで絶望という名の深淵をのぞきこむレベル)

 

沖田(じょし)は色仕掛け失敗して恥ずかしさのあまり土方さんをグーで殴ろうとするんだけど土方さん(二枚目)(男前)(天然)(ワル)はそれを片手でかる~くいなして
「俺のなにがそんなに気に食わないのかちゃんと説明しろ」
っていっそ悲しそうな顔で沖田(じょし)を責めて、
そしたら沖田はますますどうしたらいいかわかんなくなって
「ぜんぶでさァ!」
てボロ泣きして走り去り、土方さん(二枚目)(以下略)を呆然とさせてほしいです。

しょやはこう・・・・・・お互い「自分のこと好きでもないくせにこういうことできるんだ」って誤解をかかえたままだと更に倍率ドン
そんな想像でご飯がうまい日曜日※上記の憤りも解消されるね!


折り畳みで小話です。スキヤキどこいった、とか言わない約束でしょ。
総悟がうちを飛び出して、丸一日が経過した、きょう。
縁側で寝転んでいるのは白い猫だ。

近藤さんが、お茶時に平和な顔で「捨て猫ひろっちゃった~」といってつれてきた。
問題は、そいつの毛だった。
白い。しかもよく抜ける。
もしかして、もしかするのではないか?と。俺は先日から俺の庭を荒らしていた何者かの正体について勘繰っていた矢先、疑いは確信に変わった。

「こいつ、狩りのつもりなのか葉っぱとかお花をとってきて見せてくれるんだよねえ」
「・・・・・・」

心で泣いた。
そして改めて、総悟に詫びた。今、ここにはいないけれど。





それはさておき。
事情を説明するのも億劫だったが、帰ってくれとも言えない俺は、なんとも苦い時間を強いられることとなった。

白いものが視界をかするたび、はっとしてその方向を確かめては、がっかりする。この猫がまた、白いのがいけない。紛らわしい。
違う違う違うそうじゃないそうじゃないんだよ。

公園にも裏山にも、近藤さんちにも総悟はいなかった。
ほうぼう探し回った後、もしかしたら気が変わって帰っているかもしれない、と思うと家をあけることもできなかった。

結局、町内のお得意さんちに配達して回っている、三河屋的原付乗りを無理やり呼び止めて、「見かけたら無理やりにでも引きずってきてくれ」と頼み込んだ。
今のところ、目撃情報はない。

本当に、故郷の山に帰ってしまったのか?否。まさか身一つで遠くへは行くまい。
がまぐち財布もお気に入りのほっかむりも茶碗も箸も、俺の懐に隠してある。それに冷蔵庫にはあいつが大事に育てているカスピ海ヨーグルトも残ってる。かぶの甘酢浅漬けも、食べるの楽しみにしてたし。
そんなことを考えていたから、気配を察知するのが遅れた。

「・・・・・・ちっ」

猫が、俺の膝の上によじのぼってきそうなところを慌てて払いのける。
うなーん、と不機嫌そうに飛びのいて、猫はすり寄る相手を近藤さんに変えた。

「んもうトシったらいたいけな子猫にその態度はちょっと冷たいんじゃない?」
「ほっとけよ俺はもともと動物なんて好きじゃねえんだよ」
「え、だって総悟くんは?」
「総悟は総悟だろ。まぜっかえすなよ・・・・・・言っとくが、うちじゃ飼わねえからな」
「え~でも総悟くんもさあ、こいつがいたら、遊び相手できて楽しいんじゃない?」
「間に合ってる。」
「つれないなあトシってば。いいもんちょっと言ってみただけだもん俺が飼うもんね~」

猫に頬ずりしながら盛んにじゃれ始めた近藤さんに対してうずまく、真新しい怒りを心の中でどうどう、となだめていた、その時だった。

ピンポローン、と玄関のチャイムが間抜けな音で鳴ったのは。
三河屋が?といろめきたつ俺。
もしくは単なる、昼間のセールスマンか。
あるいはもしや、考えたくないがどっかで事故にでもあってその知らせとか。想像するときりがない。
「俺が出ようか」と立ち上がろうとした近藤さんを、猫がにゃあんと引き止める。それを横目に、俺は玄関へと急いだ。
そして、はあい、と戸を開けると。

「!!」

玄関先には、頭にはっぱと蜘蛛の巣をくっつけた、白いしっぽと白い耳のまるこい生き物。
総悟がいた。

暗い表情をさっとうつむかせながら、総悟は口を開いた。

「のこのこと、かおみせてすいやせん」
「なに言ってんだよ総悟、お前」

胸いっぱいで、なにから話せばよいやら、わからない。
ほんの一日のはずが、もう何年も離れていたような気がした。

なにはともあれ駆け寄る俺から、総悟はぷい、と顔をそむけた。

「しきいをまたぐのははばかられやす。おてかずかけやすが、おれのみのまわりのもん、とってきてもらえやせんか」
「身の回りのもん、って」
「ちゃわんとか、ほっかむりとか、ここにあってもしかたがねえもんでさァ」
「その必要はねえよ」

さんかくの耳が、ぴん、と立って、ぴるぴると震えた。
どうしたものか意味を測りかねて、困っているらしい。

「まさか、もう、すてちまった・・・・・・」
「んなわけあるか。ここからわざわざ持っていく必要はねえ、っつうことだ」

見上げる目がこぼれるかと思うくらいまるくなる。
んな、緊張するじゃないか。

「総悟。俺・・・・・・」

なにか、言おうとしたのに。
奥からにゃーんと白い弾丸が。俺と総悟のあいだの空間を切り裂いた。

「・・・・・・」
「あのさ」
「へえ、そういうことでしたかィ」

総悟はぴょこたいと回れ右をした。
ふらついたのは、しっぽの重みのせいだけではあるまい。

「とんだピエロでさァ。どうぞあとは、よろしくやってくだせェ」
「!なに言ってんだ、誤解だ」
「だって、だって。こんなベッピンさんあたらしくかうんだったら、おれなんて・・・・・・もう、おはらいばこだろィ」
「ば、」
「どうぞ、おたっしゃで。・・・・・・」

さよなら、と言わせてはならなかった。
素早い動きで戸の隙間から立ち去ろうとした、総悟のしっぽを、あたまを、俺は必死で。
とびかかって、戸やら壁やらに激突して、転げて。
なんとか、捕獲成功した。

ぎゃむ、とか、みゅっ、とか、悲鳴が聞こえた。
小さな生き物は必死にもがくも、俺の全力にかなうわけがなかった。

「は、はははははなしてくだせぇええ!」
「離さねえ。逃がさねえよ」
「おもい!おもいんでさァ!おれ、なにもわりぃことしてねえのに、なんで!」
「悪いのは俺だ。ごめん。ごめんな総悟」
「ひじかたさ・・・・・・」
「ごめん」

にゃあん、と巻き添えを逃れた白い猫が、傍らでのんきな声を出した。

更にのんきな声で「あれえ総悟くんひさしぶり~」と聞こえたかと思えば近藤さんは、キティちゃん(さっき命名したらしい)を抱きかかえた。
そろそろおいとまする、とのこと。

「なんのお構いもしませんで」
「いいええ。そろそろご飯時だしね。水入らずの邪魔しちゃ悪いし」

一人と一匹に「仲良しだなあ」とあたたかい微笑みを残して、近藤さんは帰って行った。嵐。

「・・・・・・とりあえず飯にするぞ」
「めし?」
「炊けてるから。風呂もわいてるし、布団も乾燥機でふかふかだし、お前の寝巻き、柔軟剤でふわふわだし、ピタゴラは録画してあるしけど、飯が先でいいか」

こくんと頷いたひょうしにもっふとしっぽが左右に揺れた。
よかったちょっとは、機嫌が直ったようだ。

「あさづけが、そろそろつかりすぎになっちまうって、おもってたんでさ」
「そっか。」
「なんだ、土方さんたべてよかったんですぜ」
「一緒に食べたくて待ってたんだよ」
「そんなおおげさなもんじゃねえだろに」

とか言いつつ、ちょっぴり得意そうなのは、しっぽを見れば明らかだ。
こうして我が家は平穏に包まれ、今宵は無事に、ふけゆくようだ。
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