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日曜日

きのうの出来事:白鳥ボートで池巡回!東大侵入! 


そんな充実しまくりの土曜日でした。
帳尻をあわすために本日は家にこもって掃除して洗濯機3回まわして冷凍したゴハンと買い置きのアイスとチョコ食べてDSやって というインドア検定1級ぶり。
もう正直眠い。起きた瞬間から眠かったんだしいい加減寝たいんだけれども今寝ると絶対深夜に目が覚めるって思ったんで辛抱しとったんですわ・・・ようやく時は きた


折り畳みで小話です。
目が覚めたら弟になっていた。

寝ぼけてるのかしらって思って、それからすぐ思い出した。
私、死んだんだわ。ちょっと前に。

白い病室で、そーちゃんとひとことふたこと話して、それからことりと眠りに落ちた。

きもちよかったな。どこも痛くないし苦しくない、あんなの子供のころ以来で、悲しいのも一瞬忘れて、ひたすら驚いたんだっけ。

(それにしても)
私ったら、未練なんてぜんぜんないって、思ってたのに。
やっぱりもういっかい会いたかったのかしら。

埃をかぶった姿見に、手を振ってみた。
はにかんだそーちゃんがいた。
うれしくなって、布団から跳ね起きて、くるりと回ってみる。

やっぱり背が伸びた。顔は、当り前だけど私と似てるなあ・・・・・・あ、喉、とがってる。
ん。ちくっとすると思ったら、爪。
深爪の癖、直ってないのね。

「起きてたのか」

さーっと、砂が胸を落ちていくような。
声に反応して、私の、そーちゃんの足が畳を踏みしめた。
振り向けば、障子に半分隠れるようにして、眠そうな彼が立っていた。

十四郎さん。

「いつまでも起きてこねえから、様子見に」

(ああその顔って照れ隠しね。)
まだ髪も撫でつけていないのに間が悪いひと。
ひさしぶり、と言うのもちょっと嫌味かしら。ずいぶん立派になったのね、なんてのもおばあちゃんみたいだしどうしよう。
頭を巡らせて、ああそうだ私、そーちゃんだったんだわって気付いて。

「このたびはいろいろご迷惑をおかけして」

ぺこ、と頭を下げた。
苦い顔をされた。おかしかったかしら、と訂正する間ももらえず、べし、と頭をはたかれた。
はたかれたの。
びっくりした。だって、私、はたかれるなんてこと、子供のときだって全然なかったから。

固まっていたら、上から十四郎さんの声が降ってきた。

「・・・そりゃ、こんな猫なで声でてめえの心配してんのなんて自分で自分が気持ち悪いけども」
「え?」
「ユーレー見たようなツラしてんなよ」
「あ、惜しい・・・・・・」
「惜しいってなんだ」

私がユーレーなのよ。
改めてそう思ったら、悲しいのと楽しいのと、ちょうど半分。
だって肝心のそーちゃんには、会えたような、会えなかったような。
・・・ちゃんと話して、さわりたかったのに。

(神様はいじわるだわ)
じりじりと焼けるような痛い感情が喉にあがってきて、ああ泣くかもって。
なんせ自分の体じゃないから、調節がうまくきかないの。

「総悟」

なんどか呼ばれて、なんどめかに返事をした。
ちょっと泣いてた。ごめんねって思いながら泣いてた。十四郎さんが困ってた。

「なんっで、今泣くんだよ・・・・・・」
「だって間が悪いから」
「俺がか?」

あたりまえよ、と冗談にしようと思ったけれど、口には出さなかった。
この人は結構繊細なのだ。

首を横に振って否定すると、やさしいこの人は、なにかできることはないかと訊いてくれた。
それなら、
とても間がいいわ。

「・・・・・・ひとつ、頼まれてください」

『これ』をそーちゃんに。
そう言って、ぎゅうって力の限り抱きついた。

ぎしぎし軋む、体の筋が固かった。
脈の音、骨の形、体温。ちょっと前まで自分も持っていたくせに、不思議。
羨ましいとも懐かしいとも思わなかった。やっぱり私はそれほど未練なんてなかったんじゃないかしら?ね。

十四郎さんは返事をしたかしら。
確認できなかったけれど、たぶん大丈夫なはず。

姿見を覗いたら、笑っているのが二人いたから。
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