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日曜日

どうして佐為すぐ消えてしまうん・・・?
というわけでヒカ碁を読んだり(咽び泣いたり)カレー作ったり(失敗したり)不忍池周辺を散歩したり(蚊に刺されたり)東大に行こうとしたり(迷って辿りつけなかったり)、この週末は健康的に過ごしておりました。


先日の女子会で「休みの日とかなにしてるの?」って聞かれて「昼まで寝て漫画読んでネット見て夕方ころ本屋スーパーコンビニ梯子して廉価版の漫画片手にハーゲンダッツ食ってーて感じっすかね」と答えるのも礼儀がなってないかなと思ったので「散歩したり料理したりしてますv」って答えたからまあなんつーかアリバイ作りにな。これであと半年は戦える。


折り畳みで小話です。


「この頃総悟が俺に優しいのだ」と口に出したのは別に、これに対してなにかコメントが欲しかったわけではない。
明日の天候だとか今日の献立だとかその程度の、よくある話題のひとつとして聞き流してもらってよかったのだ。

しかし山崎はそう受け取らなかったようだ。俺の決裁待ちの書類を抱え直すと(しかも慌てて落としそうになる、というリアクション付きだ)深刻な表情で息を吐き出し、意を決したかのように俺に切り出した。

「イタリアンマフィアは、始末する相手に贈り物をするという話ですよ・・・・・・」
「そのネタ前も聞いた」
「んなことおっしゃられましても」

会話を切り上げようと煙草に手を伸ばした俺にお構いなしに、山崎は続ける。

「つまりそれは沖田さんの罠なんです」もういいんだが。

「この頃随分丸くなったなあ反抗期も終わったかな、なんて油断させておいて、ガツン。今宵は新月ですからね、もしかしたら闇夜に乗じて後ろから御命頂戴、まさか副長も同門の部下の仕業とは思いますまいと・・・・・・」
「いや確かにこの頃はおとなしいもんだけどだからって今更改まって闇討ちなんて」
「甘いんですよ貴方は!」

この後は山崎によるひとり青年の主張大会が繰り広げられた。「詐欺の手口」「食虫植物の生態」「熊の親子と盗人の少女」まで実例の引用や児童書の一節まで諸々、内容はとりたてて面白いわけではなかったが、うるさい去れボケと俺が冷たくあしらわなかったのは多分この頃気持ちが落ち着いているからだろう。

先日の懇親会でも「俺もっと私生活を充実させたいんですよ」という漠然とした悩みをぼやいていたし、実はこの男、相当ストレスが溜まっているのかもしれない。

俺はちょっとばかり不憫になって、とりあえず聞き役に徹した。





「おつかれさまです」

総悟の爪先がぱたぱたと布団を叩いている。腹ばいになったままで見上げてくる目が眠そうだった。
何の用だと尋ねることはもうしない。
ここしばらくずっとだ。総悟はこの時間、俺の部屋に寄るようになっていた。

「ああ。おつかれ」
「また随分、遅くまで根詰めて仕事してたんですねェ。きのうはもう、でかいヤマ片付いたし暫く暇だっつってませんでしたっけ」

総悟が体をずらしたので、その隣に当然のように倒れこむ。
青い目が覗いてくるのを確かめて、瞼を下ろした。話しながら眠ってしまおうと思った。
どんな反応を寄越すのか、興味がないわけではなかった。


「山崎がいうには、これは罠なんだと」


ぱた、と爪先が止まった。
「へえ」総悟の声が少し遠い。
体を起こしたんだろう、布団が少し浮きあがる。


「それで、土方さんはなんて答えたの」
「あ?気にしすぎだろって」
「・・・・・・土方さんは純情すぎんでさァ」

いつもどおりの抑揚のない喋りだった。
薄目を開けるも、見えるのは総悟の膝だけ。

「ちいっと優しくされりゃあすぐぽーっとなっちまって。だからいろんな相手にほいほいひっかかって痛い目みることになるんですぜ」
「じゃあ、罠なのか」
「決まってんでしょ。実験したんでさぁ・・・・・・従順な振りしてりゃ、あんたが食いつくかって思ったから、俺は」
「じゃあ遠慮なく引っかかってやるよ。」

なんだ据え膳だったのか。
決めかねていたところだったので俺は安心して、目の前の膝をどうこうすることにした。

月は出ていない。
灯りは消してとお願いされたら、天井の染みを数えているうちに終わるよという常套句が、使えないかもしれない。

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