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日曜日

寄る年波とか信じたくない人たちが『今年の風邪はたちが悪い』って言ってしまうんだろうなあ。
そんなことをぼんやり思っている私は絶賛風邪っぴき中です。スッキリ治らねえぞこれ。今年の風邪はt
「あんたのどなり声がしねえ屯所なんて静かで・・・なんだか、・・・」「落ち着かねえ、とか?」「・・・(コクン)。べ、べつに俺が言ってるわけじゃありやせんぜ皆がそう言ってたのを聞いただけで///」
お前よせよそんなかわいいこと言うとちゅーしたくなる冗談やめてくだせえよばかばか

とまあこのような情景が繰り広げられるにはこの1Kはあまりにも小汚いしなにより私が煙草を嗜むハンサムガイの副長さんにメタモルフォーゼするところっから頑張らないといけないわけですがちょっと頑張れない。つーかなにまた熱出てきたんだけど鼻水と頭痛に効くって書いてある薬でも効くのかえこりゃ


折り畳みで小話です。


ブーツと隊服のスカートの、ちょうど境目ひざがしら。
青あざはとても鮮やかに。

「転んだんですか」
「けんか」
「副長と?」

わかってんならわざわざ聞くな、と言いたげに、沖田さんはクランベリーのソーダを啜る。
呼吸のたび、試験薬みたいに毒々しい赤で染められたストローが、白い唇にもてあそばれる。
「馴染みの問屋がおまけにくれたんです」って押し付けたリップグロスの丸い缶は、まだ沖田さんのポケットの常連にはなれないみたい。

「だいたいあの人は心が狭いんだ」
「なにしたんです厠に閉じ込めて目張りしたとか」
「お前性格悪いな山崎。・・・んなたいそうなことしてねーよ。枕元に脱皮しかけの蝉を置いただけ」
「へええ・・・」
「朝から生命の神秘ってーもんを拝ませてやろうとしたのにさァ、全然ありがたみってもんをわかってねえよ。なあ?」
「え?あ、嫌がらせじゃなくて思いやりなんですか?」
「んなわけねーだろ嫌がらせだ」

ずず、と最後の一滴まで啜られて、ガラスのコップは氷だけ残った。
俺マジ蝉好きなんで次回はよろしくお願いします、と先走らなくてよかった。変態昆虫博士呼ばわりされていたかもしれない。

「まあ、だからって暴力に訴えるのはよくないですよね。うん。いくない」
「だろ?『俺の部屋勝手に入ってくんなっつったろ』、て枕ひっつかんで投げてきたんだぜ?よけそこねて転んじまった。」

乙女か、っつーの。
と沖田さんの台詞と俺の思考がシンクロした。

じんじんじんじんとタイミング良く、蝉の羽音が鳴り響く。
そろそろ休憩時間も終わる。表に止めている公用車の蒸された車内を想像すると、それだけで嫌になるけれど、そうも言っていられない。

そういや蝉は、と尋ねるまでもなく、沖田さんが答えた。

「そいつは無事、羽をかわかして屯所の庭に逃げたよ」
「なんだ結局」
「あ?」

(結局、孵化すんのを仲良く見守ってたんですか。)
朝も早よから肩を並べて。

伝票をつかみとり、沖田さんは颯爽と立ち上がって歩きだす。
見せびらかすみたいな青あざはちっとも痛そうじゃない。

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