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日曜日

出張の疲れが今日どっときた。のでリフレッシュしてーんですう!と勢いのまま街に飛び出したもののマッサージ屋さんも美容院も予約がいっぱいだったという悲劇的状況。
結局マツキヨで足すっきりのシートと湿布と髪の毛うるおう的なトリートメントを買って帰りました。なんだねもう。疲れてるんだぞ私は。(そういうお店はちゃんと事前予約しろよ、という話です)

折り畳みで小話です。 今夜の張り込み中はわりと暇で、たぶん雑誌の一冊くらい持ち込んでななめ読みしてても楽勝だろって思ってたのに相棒が土方さんと聞いて、俺は露骨にいやな顔をした。はずなのに、当の土方さんときたらなんも気付いてないようで、「さぼんなよ」なんて気楽でまったく親しげに、俺の頭に手を置いたのだから思わず舌打ちのひとつもしたくなる。





窓辺に寄れば、ぬるい風に乗って車のクラクションと男の怒声が聞こえた。
目を閉じれば浮かぶのは、手をひかれて歩いた畦道。虫の声。まるで遠いように思えるふたつが、夏の匂いでつながる。

「・・・ご。総悟」
「はい」
「寝るな」

おとなしく、もたれていた窓を諦めて、壁際に背中をもっていった。
土方さんのほうはけして見ない。死ねばいいのに、と呟いた声は無事、届いたようだ。

「お前いくつになったっけ」

意外なほど穏やかな声にそっと息をのむ。むっとされた、かと思ったのに。

「じゅうはち、です」
「あ?もうそんなん?」
「あ、涼しい・・・・・・」

そんなんですよ、と答えるのがめんどうくさいのです、という態度。
ちょうど風が流れたから、とは言え、がきくさかった?かたくな。
(昨日今日が誕生日ってわけでもないのになにをいまさら)

土方さんは素っ気ないとかおっかないってのが表向きの評判で、ここぞというときに金を出したり名前を貸したりするものだから、実のところうちの隊士たちにはそこそこ人望が厚い。
先週の暑気払いだって、二次会費用として財布を丸ごと渡したらしい。「必要な分そっから抜け、ておっしゃられて」ちょっとばかなんじゃないの、と俺は思ったけれど、それを語る山崎はそのときの場面を反芻しつつ、あらためて大層しびれているようだったから野暮なコメントは控えた。
俺も、人様のおうちを破壊したとか電信柱を折ったとか、後始末が必要な事柄には、肩書き付きで土方さんの名前を出す。不本意ながらそのほうが話のとおりがいいのだ。未成年でいち隊長の俺よりも。

「最近つめたいよな、お前」
「はあ」
「ほら。受け答えがてっきとーだし。反抗期?」

こうして。
俺のこと気にかけてる、ようなふりをしてそのくせほんとはまったくもって、興味なんてないんだ。
病的なまでに近藤さん近藤さん近藤さん。(そしてもう一人)・・・でしょ。
俺だって負けちゃいないけれど、それは。だけど。
(だから歩み寄れるような気がしていたの)

「まあ。お前の反抗期なんて、とっくの昔に済んでるよな・・・・・・」

ふ、と笑った気配がしたけれど、ここから土方さんの表情なんて見えない。だいいち月がかげっている。
それでも煙がふいに香るのだから、きっと口元は機嫌よく、歪んでいるんだ。

夏のにおいが侵されていく。
甘えた声で姉を呼んだ、自分の声すら薄れていきそうな、ざらざらした焦りが背を撫ぜる。

早く殺してしまいたい。いつか泣くかもしれないから。
今はまだ、予感にとどめておく。
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