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木曜日

どうしよう総悟ってほっかむりがすごく似合うの・・・
というのが本日の通勤電車の中でのお題でした。

なつこみ原稿、そろそろスパートなんでしょうか。土沖描きの皆さまに心よりエールを送りたいです。いっそ小銭でも餅でも投げてしまいたい。

折り畳みで小話です。


この魔物はよい魔物ではない。だけど都合のよい魔物。

「取引をしやしょう」

真夏も真夏。
照りつける太陽は平等で、だれの上にも魔物の上にも焼けた砂のような暑さをさんさんと降らせていた。
なのに魔物はくろい外套を脱ぎもせず、青白い指先をぴんと立てて、そう言った。取引?

にこりともせずに青い目がくうっと細くなる。それはみずうみの色。

「さっきから眺めてりゃあ、あんたはどうも、針仕事ってェのに向いてねえ。布はずたずた、針だって滑ってろくに働いちゃいない。とはいえあんたは、投げ出すわけにはいかないっていう、苦い顔だ。お困りだろィ」
「まあ、おおむねそういうことだ」
「だから俺が針仕事をするんです」
「代わりに命を、とかいうんだろ」
「きょうびそんなん流行りやせん。俺ののぞみはあんたの髪だ。黒い髪。」

耳を疑い、聞き返し、三度目の同じでようやく魔物は表情というものを顔にだした。しかめつら。
「ばかにしている?」「していない」思わず笑いたくもなる。なんだまるで、こどもじゃないか。

魔物のいうことには、黒い色はとても価値があるのだという。「いつもはまがいものなんだ」なるほど、彼の外套も近くでよくよく目をこらせばまだらな藍と紺色だ。

「真黒い色。真夜中みたいな黒がほしいから」

頼みごとというより命令のような強さで魔物は、針をよこせと手を伸ばした。
ものは試しと貸してやれば、魔物は針の扱い糸の始末がとても上手。またたきするのも待たずに布に、土から芽吹いてつぼみが膨らみ鮮やかに咲く、花の模様を。

「・・・・・・さあ。どうしやす」

寒々しい色が取引を迫る。
背中につう、と流れたのは熱い熱い汗の玉で、しらずしらずに束ねた髪の、先を握った。
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