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金曜日

いぬまるの新刊が発売されました。5巻も安定の面白さ!「どうだろうか?」というあの伝説のギャグも掲載!とっくに忘れとるがなそんなん!
コラボ企画の雨宮ちゃんのかわいらしさにも注目だ!さらに矢吹先生がTOらぶった触手ネタもありの盛りだくさんな420円!


折り畳みで小話です。


「一人になった瞬間を狙うのは、なにも殺しに限ったはなしじゃねえんです」

誰に入れ知恵されたんだときけば、「みんなに」とこたえる。
みんな。
つまりは近藤さん以外の誰か。
(だって総悟は、近藤さんから得たものはどんなものであれ俺に誇らしげに報告する)
一発殴ってやろうにも、なんだまったく、的が絞れていない。

ゆうべ縁が切れた女は、三味線の師匠をしている三十路の美人。
ほかに相手ができたのよごめんなさいね、と「お手当」を突き返されて、俺が「お幸せに」と言ってそれはもう、あっけなくきれいに。帰り道、見上げた月は滲んでいなかった。

総悟の嗅覚は大したもんで、俺が「ひとり」になった瞬間をけしてまちがわない。
昼間はともかく、日が落ちてからは怒鳴り散らして名を呼ぼうが、菓子を片手に猫なで声を絞りだそうが、まったく網にかからない。説教始末書拳骨正座。俺のことなんざ、災いを齎す悪の化身だと思っているに違いない。誰が悪いと、こいつは。悪の反対はまた別の悪とでも嘯くか?

それがどうだ。
今度も早速だ。
そういう相手とわかれた途端、すいと明かりを落とした部屋に忍び込む精密。

ともあれ、準備も間もたいへんよろしい総悟は、新しい湯の匂いを纏わせて、俺の耳の下に唇を寄せながら、冒頭の台詞を呟いた。そして「したい?」きく。
ゆうべ「し損ねた」体の俺は、ふくふくとした湯気などとうに逃げた髪の毛に、指をすべらしてこたえる。

「こういうのは、誰の入れ知恵だ」

俺の好きな誘い方。

「さあ。誰でしょうね」
「男か」

こう尋ねればしかめ面をつくるのを知っていていう。

「たぶん」
「ここの奴じゃねえだろうな」
「どうなんでしょうね」
「あるいは、まさか。よ」
「・・・・・・ほんと、あんたって、いろんな人に縛られていやすね」

黙ってしろ、と腹の上でかわいらしく脅されて、俺はそれきり口を利くのをやめる。遠慮のない浸食をするのだ。
(お前が黙っちゃおれないくせに。)

 

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