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火曜日

私だってほんとうはJリーグカレー食いながらミサンガ巻いたりする性格になりたかったんだ。


今ローウソンで2個お菓子を買うと藤子先生絵のクリアファイルが貰える!という素晴らしい祭が開催中です。
レジダッシュですよ。豆乳買うの忘れたけど最高の昼休みだった。私輝いてた。
パパヤパヤパパーパーパーパーパパヤパヤパパー(HEY YOU!)
※お察しのとおりコロ助をチョイスしました。


折り畳みで小話です。


 



アルプス一万尺をするモンスターピンクと芋ジャージの二人組は、仲睦まじく。

「どうしてもそーちゃんの顔見たくって無茶しちゃっ・た」
「無茶って?」
「実はチョーノーリョク使える?とか?居場所、ピピピって。」
「まじでか」
「もおっ。パー子が嘘言ったことあった?」
「・・・ううん」
「なら信じて」

こくん、と頷いたのを見て俺は「このバカが」と内心で激しく毒づいた。
このままじゃ俺の体内には毒素が回ってやがて死に至る重大な疾患が発症するのではないか。真面目に悩める。

しかし恋人たちの会話というのはここまで頭の悪いものだったろうか。ものなのかもしれない。自省も含め、俺の少ない人生経験を反芻するも、判断は微妙なところであるが。

こうしている間も熱心に、せっせっせと指をからめ手をからめている。へえ指の関節やわらかいっすね、なんて感想言ってる場合じゃない。遠慮もへったくれもなくねちょねちょした雰囲気をふんだんに、惜しげなく、醸し出している。うんざりだ。

そうかと思えば声をひそめて、内密な話をするように背中を丸めて二人、顔を寄せ合っていた。
「でも」「財布」「今度あらためて」言葉のはしばしだけが届く。

そろそろ行くぞ、と口を開きかけた瞬間に。

「土方さんは関係ないです」

総悟はそう言った。
どういうわけか、そこだけはっきり切り取ったみたいに、よく聞こえた。

俺はそっと車のドアを閉めた。
キーを回す。アクセルを踏み込む。

鳩豆の表情でかたまっている総悟とバックミラー越しに目があった時は少しだけすっとしたけれど、浸る間もなく、すぐに姿は見えなくなった。

「ざまあみろ」と呟いてみたけれど、総悟にダメージなんてあるはずがない。
かえってうれしいくらいだろう、「恋人と」海辺のドライブ。結構じゃないか。

もうこのまま二度と会わない。
連絡だってとらない。無視する。知らない。助けない。面倒なんてみない。
手探りで拾い上げた携帯電話から、夢中で『総悟』の履歴を消した。

俺がいくら心配してもあいつには届かないんだ。
『関係ない』?そうだよな。
あいつは感謝なんてしない。俺は、感謝されたかったんだろうか?あいつごときに。
違う、世間体か?ご近所にいい顔をしたかった?あるいは、美人の姉貴に取り入ろうと?それとも単に自己満足。
自己満足か。そうかもしれない。

包丁男の負い目をいいことに、ずっと縛り付けていた。
縛り付けているつもりになっていた。
実際のところ総悟はずっとしたたかで、自由だった。俺の小言なんて軽くかわして、どんどん先にいっていた。

なんだったんだろう。この数年間は。
俺と総悟の間にあったのは誓約書という紙切れだけで。

「なにもなかったのか」

ひとりきりの車内はやたら声が響いた。
ひゅっと息を吸う音がした。喉の押しつぶされるような音も。
どこから、と視線を走らせる最中にちょうど、膝にぼたぼたとなまぬるい水滴が落ちた。

いつの間にか泣いていた。わけがわからなかった。
こんなに泣いたのはいつぶりだろうと思い返したら、小学校のときに総悟が滑り台から落ちて血まみれになった時の騒動がよみがえってまた、おかしな涙が出た。





ところで、俺はこの日、非常にためになる教訓を得ることとなった。

『物思いに耽りながら運転するのは非常に危ない。』
ガードレールの先に広がる海と空の境目を目に焼き付けて、それきり俺の視界は暗闇に沈んでいった。
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